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公務員だった頃の話#2~私の「カスハラ」体験談【その1】

皆さん、こんにちは!七年の海です。

私の公務員生活について綴るシリーズ第2回!
今回は、私のカスハラと思われる体験談を中心に書いてみます。

なお、「」は留保のカギ括弧
「これって、本当にカスハラなのかな~??」
というニュアンスを含んでおります。
役所の実務ではよくある話かもしれませんので、何かしら、
皆さんの心に響くものがありましたら、うれしいです!

【まずは注意事項を再掲】

記事の内容によっては、
同様のご経験をなさった方もいらっしゃるかと思います。
ご覧になるにあたっては無理をなさらず、
辛いと思ったら、読むのを中断しましょうね。
是非とも、ご自分のペースでお読みください。


当時の事実関係に関する記述は、プライバシー保護および地方公務員法における守秘義務等の観点から、一部を改変しております。

当該事案にかかわる問題、住民、組織、職員、私が置かれていた職場環境等を糾弾、非難、誹謗中傷等をするものではありません。
あくまで、私の体験した一事案を広くご紹介して私の自己紹介を目的としております。誤解のないようにお願いしたいと思います。
(ただし、ご意見等ございましたら、コメント欄に寄せて頂けると有難いです。原則として、返信することは致しません。ですが、書かれたコメントは全て拝読しております。)

私の置かれていた基本設定をご紹介

これまで、図書館、税金、道路工事、国保の部門を経験。通算14年の私。

振り返ってみて、これってやっぱり、カスハラかな~って思い浮かぶのは、
道路工事を担当していた建設課時代だな。
意外にも、税務課では、あんまりそこまでエグイのはなかったと思う。

税金は、けっこう法律で守られているところがあって、
課税・徴収する側の立場をかなり守ってくれています(地方税法とか)。
税金関係の裁判って、なかなか原告が勝訴するのは国税でも難しいみたい。
税務課でのエピソードはまたの機会にするとして、
私が4年間配属された建設課のことを少しご紹介しましょう。


建設業界はけっこう法令の縛りが厳しいことで有名(建設業法とか)。
今年4月からは、ついに労働時間の上限規制が始まりました。
東京五輪2020開催の前から、恒常的に人手不足の業界ですよね。

工事の入札が不調になる、ということはありませんでしたが、
地元業者による入札機会の確保のため、
指名競争入札となる工事がほとんどでした(予定価格の金額で決まる)。
役所にとっても、地元の建設会社はなくてはならない存在。
入札・契約関係は総務課の所管なので詳しくは知りませんが、
”すみわけ”というか、上手い具合に、
落札になっていたのを覚えていますよ。
(役所のなかでは、地域性と云っていました。談合ではない【重要】)

総論として、建設関係に限らず、かつてよりも、
役所の立場が弱くなったということがあります。
強く民間の法人へものを言えないということがしばしばあります。

これはけっこう重要な視点で、
「公平・公正」「杓子定規」と云われがちなお役所仕事も、
いろいろな利害関係者の影響を受ける。むしろ、受けざるを得ない。

これは、その土地土地の自治体の事情に大きく左右されます。
(云わんとしていることは、もう、お分かりですね笑)

私は、どちらかというと、施工業者(建設会社など)に対して、
どうしても気兼ねをしてしまう、というか強く指示・指導しにくい、
ということがしばしば。
私の性格的な面ももちろんあるのですが(あまり強く人に言えない)。

この辺のさじ加減は、職員にも依るし施工会社の現場代理人にも依るので、
その塩梅が難しい。役所の職員といっても、やはり「人対人」のサービス業ですからね。持ちつ持たれつ、ギブアンドテイクの世界でしょうか。

もちろん、私も随分と業者さんには陰に陽にと助けて頂きましたよ。
ですが、あんまり肩入れし過ぎると役所との関係性に悩むことになります。ある種のバランス感覚も必要。馴れ合い、もたれ合いは、のちの役所人生で色濃く影響してきます。どこかで、逃げられなくなる。
なるほど、人事異動の意味というのは、こういう「職員の逃げ」に貢献している部分も大いにあるのだな、と思いましたね
(人事異動には、不正・癒着防止の意味合いもあるといわれる)。

建設関係の事業は、他の事業(福祉、農業・林業・漁業、観光、教育など)と比較しても、扱う金の規模が大きいです。
毎年、何百万、何千万(自治体によっては億単位)の予算を、一つの工事でばんばん使う。もちろん、一人の職員で複数の工事を担当しますから、
その責任は決して小さくはないでしょう。

まあ、慣れというのは怖いもので、こうした規模の金額にもだんだん慣れてくるんです。いざ、配属されて工事を担当してみると、いかに早く、丁寧に(それこそ住民からのクレームなしにw)施工するかが重要視される。
あまり金額の大小に気が向かなくなる。
当然、原資が税金である、ということを忘れがち。
使う方にばかり気が向きますからね。

こうして、一人の事業課の担当者が、ここに爆誕!!笑
すっかり、私も役所色に染まっていましたねぇ~今、思えば。


補足になりますが、
かつて、公共事業の華やかなりし頃の工事設計書を見ると
(平成ヒト桁~17,18年頃。意外にも、バブル崩壊の影響には
時間差があったみたい)、毎月何本も発注を出していて、
指名業者も倍以上。まだまだ、お役所から競い合ってお仕事をもらう時代。
職員と業者との関係も私の頃とは違っていたみたい。

時代が流れて、ようやく対等な立場になった、ともいえるし、
やっぱりそんな単純なものでもないかな、って思ったり。
私は単なる一兵卒で管理職ではなかったので実情は判りませんけどね。
外から見ていて思った、私の感想です。

なので、業者からカスハラにあったというのは、幸いなかった。
(まあ、苦情やキツイ人はいましたよ。からかわれたりとか。これは、サービス業全般にいえることであって、特筆すべきことではない)

そうなると、やっぱり、イチ住民からのクレームですかね~・・・

「カスハラ」体験談①

案件:道路に水たまりができているから、どうにかしろ!

これは、、、古くて新しい問題というか。
なかなか抜本的な解決の難しいところがあります。
地形的な問題もあって、一概に役所に100%責任があるともいえない
(道路管理瑕疵責任という)。
というか、ほぼほぼ、お前んちがそこにあるのがいけねえんだろっ!・・・というのが本音のやつ(笑)程度問題というのも、ある。

今回の案件は、その程度の「我慢できる許容範囲」を超えちゃった感じでしょうか。田舎の抜け道ってやつで、そういう道は車のスピードが出ている。
その水しぶきで家のガレージが濡れてしようがないから、賠償しろ!
そういえば、当初は、そんな屁理屈みたいなことも言ってたな。
いやいや、ドライバーの問題もあるでしょ・・・

まあ、さすがに「いっそのこと、引っ越したらどうですか??」なんて
口が裂けても言えない(一度は言ってみたかったな!w)。

とりあえず、現場で立ち会いをするところから始まって、雨の日にも呼び出されて。それから、現場作業員(役所には必ず技術職の現業職員がいます)に頼んでアスファルトを施工してみて様子を見て・・・なんて個別対応をしていくことになります。現場のお家が役所から遠かった・・・

「選択と集中」という言葉があります。
一時期、役所でもてはやされた考えで、よく財政担当者が口走ったり。
「ゼロベースで予算積み上げて」なんて云うのも耳にタコができるくらい聞いたことあるし。

何が言いたいかというと、
予算の先細りと一律〇%カットという厳しい緊縮財政の流れがあって、
無尽蔵に金はねえ!ってこと。

特に、公共工事、とりわけ道路予算は規模が大きく、予算査定の段階で、
悲しいかな真っ先にカットの対象
になりやすい。
かつて、財政担当者から直接聞いたことがあります。
自治体運営の理屈としてはよ~く分かるんだが・・・
う~ん、そうはいっても、現場は大変だゾ!(どこもみんなそう)

その依頼主のお宅は調整区域にあって、
そうなるとやはり、事業効果としては市街化区域に劣るのです。
当然といえば当然の結論(予算獲得の説得材料としては弱いということ)。

もちろん、そういう建前を説明して引き下がってくれる、もしくは、
端から諦めてくれればいいのですが、そうは問屋が卸さない人でした。

一つの傾向として、こういうことを言ってくる人というのは、だいたい、
地元民じゃなかったりします。つまりはよそ者。

確か、自治会にも入ってなかったみたい。
これじゃ「道路の陳情は地元の自治会を通すのがルールですから」って、
お決まりの定型文(笑)で逃げれないじゃないか!!?

だからこそ、これまでのしがらみにとらわれず、言いたいことが言えるのでしょうから、本人は正義の味方を気取っているのかも。

でもね。案外、騒いでいるのは一人だけだったりします。「裸の王様」。

そして、高齢者でした。みんながみんなクレーマーとは言いませんが、
やはり傾向としてはあるな、というのが実務としての実感かな。
彼らには、悠々自適な時間がありますから。

結局、小手先の対応では解決に至らず、書面にて正式に要望書を出してもらいました。提出させた、というのが実態かな。いろいろ書き方とかも教えてあげたりして。詳細は書けませんが、これも一つの逃げ。

行政の運営側はけっこう素人だったりします

こうした道路の陳情案件というのはけっこう膨大で、
具体的な数は申し上げませんが、
昭和+平成=50年程度だけでも実に3桁はあったはず。

当然、ほとんどの案件をこなすことなんて事実上不可能。
これは、私のいた自治体に限らず、どの自治体も同じような実態でしょう。
「できないことはできない!」とハッキリ言い切ってしまえればなぁ~。
どうして、自分たちの限界を公言しないのでしょうか??
役所・住民にとって、お互いメリットがあると思うのにな。
(これこそ、首長の役割なのでは??みんな、見栄を張るけどねw)

あの都市計画道路だって、計画決定から事業決定まで数十年~50年程度経過しているものもざら。私の上司は「100年道路」なんて言ってましたよ(現に都市計画は「国家百年の大計」といったりします)。

こういった台所事情を一般住民の方は、おそらくほとんどご存じないと思います。やっぱり、行政全般にいえることですが、まだまだ情報公開が足りていないんですよね~。役所側と住民側(あるいは住民を代表する議会側)のコミュニケーションが十分にできていないんだよな~

役所にも、人事異動という人材シャッフル制度(笑)があります。
だいたい、3~5年ぐらいで担当者が入れ替わっていくといわれています。
そうなると、長い人でも5年。相対的に、年数の短い人が多くなる。
もちろん、担当者の引継ぎとかもしますが、即戦力となるまでには、
当然、年単位の時間がかかる。
そうなると、自然と”素人的な”職員集団となる。もう、これは運ですね笑
(「出戻り」といって、ほかの部署を経験したのち、古巣の部署へ管理職などとして戻ってくることもあるので、あくまで「素人的」なのです)

なかなか言い訳ばかり、歯切れの悪い話ばかりで申し訳ない。。。

組織は職員を守ってくれるのか??

そうは言っても、私も一人のサラリーマンですからね。
担当することになった案件を、なんとか進めなくてはいけません。


私はというと、当事者(依頼主、利害関係者、近隣住民など)とは、
電話やメール等で済ませず、なるべく現場へ足を運び、繰り返し繰り返し、役所の事情や建前を説明しつつ、「できることはすぐやります」みたいな姿勢でもって対応していたつもり。
なかなかこういう苦労って、上司やほかの同僚、あるいは他部署の職員には理解してもらえないんですよね~。
そういう見えない努力というのは、「見えにくい」からこそ、なかったことにされる、というか認識すらされていないことも。

なんか、勤め人の悲哀みたいな。。。

案外、役所の職員って、ほかの職員の仕事内容を知らない、
というか、興味がない(もちろん、人による)。

これも、お役所あるあるでしょうね。
やりづらいですよぉ~他部署まで横断する業務を進める場合や協力してもらいたい場合に、自分の仕事内容をイチイチ説明するのは。

カスハラ対応に限らず、「クレームは組織で対応すること」が基本。
もう、お分かりかと思いますが、
役所ってけっこう縦割りというか自分のもとに火の粉がかかってほしくないな~という雰囲気があって、案件を個人個人で抱え込みやすい構造があります。部署や管理職の対応にもよる(かなり大きな要因です!)。

私にも経験がありますが、窓口でガミガミ市民から苦情を言われていたとしても、誰もヘルプに入ってくれません。
みんな、見て見ぬふり。というか、自分の仕事で精一杯というのもある。
あまり、職員一人ひとりにゆとりがない。みんな、せかせか。

なので、どうしても上司の助けが必要な場合は、イチイチ上司の席へ行って状況を説明してから判断を仰ぎ、また市民の元へ戻って説明をして、
また上司の席へ行って(以下略)・・・最初から、来てくれ!!

お役所というのを、万人にはオススメし難い理由として、こういうことがある。まあ、どこの大企業でもありがちな、セクショナリズムというか縄張り意識というか。。。
こういうことが積み重なって、やる気が削がれて病んじゃった。
というのが、私の休職&退職の遠因ではあるでしょうねぇ~。
ガマンの限界やったし泣

いろいろ書きましたが、この事例について。
本人の主張方法やその手段は、明らかな犯罪行為(すれすれのものも含む)とは言い難く、だからといって、予算がない以上、当事者の希望するような道路工事での抜本的な解決は不可能。白黒ハッキリさせる手段が、役所にはなかった。
(おそらく、争いになっても誰も助けれくれないと思う。。。悲・・・)
ただし、案件解決の可能性が低いことを本人が認識していながら、
何度も役所へ電話をかけてきたり厳しい言葉で𠮟責したり、
何度も現場へ来させたり。
長時間にわたって職員を拘束している点はカスハラかもね。


今回はここまで。
皆さま、大変お疲れさまでした(笑)
ボリューム多め、感情量多めでなかなかハードでしたか??w

引き続き、第3回も、私の「カスハラ」体験談その2をお届けします。
いろいろ我慢し過ぎて最終的には病んでしまった私ですが、
そんなに難しい案件ばかり抱えて大丈夫なの??

次回も、お楽しみに!

それでは、また。

つづく

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