【詩】鏡面の詩
きみが、きみが、と口癖のように言い始めたあのときから、きっとぼくは気がついていたのだ、心臓から徐々に溶解してゆくように、ほかならぬ自分が腐り始めていること、自分でも知らないうちに、きみに、自分のすべてを託そうとしていたこと、けれどそれは純粋な身勝手から来るもの、実際のぼくはただ、透き通る眼球だけを愛おしく思っている、星も太陽も月も、この地球上にあるすべての繊細なふりをした光線も、きみも、たぶん本当はなんでもよくて、すべては自分を投影するだけのもの、つまりこの世界で鏡以上のものなんてないってこと、愛も友情も存在しない、腐敗のさなかでそのことに気が付くなんて、と思いながら絶望して、それでも生き続けて、きみが、きみが、と叫び続けて、それでもきっと、絶望してもなお綺麗になりたいんだ、ぼくは、きみがどんなに綺麗でも、ぼくには、きみなんかどうでもよかった。