【詩】四季


きみが流したはずの涙が、瞬く間に蒸発してゆく、青い空と、そこで白く輝く太陽の光が、まるで神聖であるかのようにきみを照らしていて、その光景をぼくは、ただ見ていたのだ、あのとき。
ぼやけていった、
はっきりと映らない、きみの表情は、記憶のなかで霞んでいった。
「一粒の雨も、降ってなんかいないから、だから、誰も傘を差し出してはくれない」、何の疑問を持つこともなく言い放ったきみのこと、なにもかも綺麗に思っていたはずなのに、ぼくは今、そんなきみを、どうしようもなく殺してしまいたくなっていて、それで、ああ、ぼくはもう、ただ死ぬだけなんだ、と思った、これがきっと、大人になるということで、成長するということで、でも、いつ気が付いてしまったんだろうな、思い出せないな、みんなみんな四季の外側にいるなんて、ずっとずっと、知りたくなんてなかったのに。
どうでもいいけれど、生い茂った青葉が綺麗な夏です、なんて、あの夏との違いすらも分からないくせに、ぼくはずっと(きっとどこかできみも)、四季の表面を撫でるみたいな、感傷を唄っている。


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