【詩】耳空

敷かれた砂粒みたいだ
好き、という言葉でさえ、口に出すごとにざらついて
透明な涙が、静かにあなたの頬を伝うとき、流れている歌は当然のようにわたしの声じゃなかった
あなたがわたしを好きと言っても
ヘッドフォンが創り出す宇宙に、わたしなんていないこと
わたしの声はあなたに響かないこと
ずっと前から知ってたよ
誰も救わない愛を求めながら、生きるしかないのだ
あなたを感動させることなんてきっとできなくて、ただ傷つけることしかできないから
もし生まれ変わったら、ただ歌うだけの鍵盤になりたい。




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