【詩】夕陽
夕陽が射した公園で
黙れ、黙れよ、と心臓が引き裂かれるみたいな痛さで、僕は叫んでいて、けれども、もともと誰もしゃべってなんかいなかったこと。
僕以外、誰もいない。
滑り台の上に覗いた赤い夕陽が、僕の言葉をぜんぶぜんぶ吸い込んでいって、誰にも、もう嫌いと言うことができない。
理解したくも、されたくもなかったはずのに、
それでも、
分かりたかったんだろうか、
僕は。
「嫌いなところを言葉にできるってことはね、そのことを、そういう人のことを、きみはちゃんと理解できてるってことなんだよ」
詭弁で、僕の嫌悪感さえも、優しさに塗り替えてくれた貴方は、気付かないうちに消えてしまっていて
知らず知らずのうちに僕は、そのことを夕日のせいにしていた。そうするしかなくて、なにもかも夕日のせいにしていた。もともと無力なのに、なにかに無力化されたかのような傲慢さで、僕はじっと茜色の夕日を見ていて、嫌いと言っても実体がないこと、知らないふりをしたまま、ずっと、嫌いと叫び続けていた。貴方以上に、嫌いな誰かに出会う、そんな幻想を、僕は、ただの夕日に見いだしていた。