【詩】花
わたし、ただ誰かを愛するために生まれてきたのだと、きっと遥か昔から決められていて、まるで花言葉みたいだった、いや、本当は、わたしだけじゃなくて、たぶん他のものも、それはもちろんわたしたち人間以外も、ぜんぶがぜんぶその通りで、意味のないものなんてひとつもありませんよ、自分が望んでいなくても、どこの誰とも知らない誰かが、どこまでも詭弁みたいな意味をつけてくれるのだ、あれはきっと愛の象徴ですね、そう誰かに名付けられる横で、あれは自惚れの象徴だと、あれは失意の象徴だと、ゆびさされる花のこと、花言葉は真実の愛なんだよ、と言って好きな人を口説いている誰かを見ながら、わたしは、花言葉が決まってしまうずっとずっと前にしか、愛なんてものはなかった気がしていた。
死なないで、
きみはぼくにとって大切な存在なんだ、
そんな風に言うあなたも、言われるわたしも、
ただただ、一輪の花、
未来で増える花言葉のひとつひとつ