【詩】飛行機雲
このままずっと、他人事で世界を見続けていたいな
空はわたしの姿を映さないこと
その事実だけで、空を見ている理由になるから
知らないうちに雲の名前ばかり覚えていました
開けた大地が、わたしの原風景みたいで
記憶のなかで、いつも貴方が薄明みたいな顔で笑っている
そんな何の特徴もない光景の彩度だけ、愛おしく想って、わたしは、けれども、いつからあんなに空が遠く思えるようになってしまったんだろう
今日も、そしてきっと明日も、変わらない彩度で青空が広がっているけれど、
もう見えない、もう分からない、何の雲なのか答えられないから
飛行機雲、ひたすら空を切り裂いて、何の因果もなく救ってくれよ、わたしを。
貴方が誰なのか、わたしが誰なのか、それすらもどうでもいい
ただ空だけを見て、今度は星の名前を覚えて、一緒に死んでいきたいね。
生まれ変わりは、雲か星がいい。