【詩】吹雪
温い涙、凍てつく風が吹いて、なかったことになった、1月
冷えた右手を伸ばして、ずっと、あなたの残像をなぞっているのだ、ひとり、水色の空を眺めながら。
白い空気に交じって、飛ばされてゆく涙は、もうあなたのものじゃないよ、冬の風だけがあなたの涙を連れ去ってくれる、とそんな風に言ってしまえば、もうあなたを二度と泣かせないで済むんじゃないかと思った、二度とあなたを悲しませなくて済むんじゃないかと思って、だからあなたを傷つけていた、痛いことを証明するものはその瞬間どこにもなく、声ばかりあげるわたしたちの涙を綺麗に冬の風が連れ去っていって、そのあいだ言葉だけがわたしたちの周りで浮かんでいる、吹雪で、なにもかも消失しまって、ただ一面、白くなったとき、もうそこに言葉なんてなかった。