【詩】硝子

世界が映る、そこには世界が映し出されている、ただ、それだけのことでしかないのに、と
朝が終わって、昼を飛び越したみたいに、いつのまにか夜になった。
綺麗であろうがなかろうが、
すべての風景は、色彩以上にはならないこと。
きっと、代わりに嵌め込まれただけの硝子細工が、この世界を最も綺麗に映し出すから、
ただ、その事実だけで、わたしは、心の綺麗さなんて無意味だと言うことができる。
解像度が低いだけで手に入るような、そんな優しさなんていらない、と
機械仕掛けの神が与えてくるような、そんな綺麗さなんていらない、と
そう叫んだまま、わたしはずっと、変わらない風景を見ている。
霞んだままの世界を見ている。

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