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【闇の左手】途中読書感想文
私が高校生の頃に初めて読書で挫折した本がこの「闇の左手」である。
色々な映像媒体で
SFというものを理解して
何度も読めるようにチャレンジしている作品だ。
昔に比べてかなり読み進められるようになってきたのだが
なんだか頭がこんがらがりそうなので
途中経過で
感想文を一度書こうと思う。
私は学生時代からルグウィンの小説は何回も読んでいる。
ファンタジー作品はその当時、手に届く範囲のものは一通り読めたのだが
本当に彼女のSFは難しい。
ただどんな世界で、何が起こってるのかを理解すると
彼女のファンタジー作品の特徴と同じく
旅とカルチャーショックの物語である。
私がルグウィンの作品で好きなのが
現実では決してあり得ないカルチャーショックが描かれるからである。
そのカルチャーショックが主な主題でおそらく描かれたのが
この小説だと思う(文庫化もされず、埋もれていきそうで怖い)。
学生時代この小説が大好きで
本当よく読み込んだ。
「闇の左手」で描かれているカルチャーショックは
あらすじにもある通り、性別の問題だ。
割とジェンダーの問題がまだ
フラットだった時期に、ジェンダーの話題を小説にしている。
この物語の舞台である
惑星「冬」にいる人々は皆、両性具有で
私たちの世界の性別の常識が一切通用しない世界だ。
主人公がいわゆる肝っ玉かあさんのような外見の人に
何人子供を産んだんですか?と尋ねると
産んだことはないが孕ませたことはあると返答が返ってくる惑星なのだ。
主人公はこのような自分の星の性別の概念が通用しない惑星で
幾度もカルチャーショックを受ける。
ルグウィンはファンタジー作品の自分が生み出した種族から
こういったカルチャーショックを読者に体験させるのが本当にうまい作家だと思っている。
小説という本の世界なのに
どこでもないどこかで旅をしている気持ちにいつもなる。
この性別の概念が曖昧な世界で
更に独自の宗教や民話が絡んでくるので
とても没入感のある読書タイムになる。
こんな世界をいつか自分も作ってみたいと思う。
私はルグウィンの世界で繰り広げられる
ちょっとした民話も好きだ。
「19のつく日に死ぬ」と予言され、狂っていった人の物語
一族の誓いの禁を被り、自殺した兄の幻影に打ち勝った弟の物語
もしも、こんな民族が存在していたら
あったかもしれない創作民話がとても面白いのだ。
そしてこういう抽象的な物語は
言語化して感想を書くのが難しい。
でも勉強になる。
世界は広くて無限に広がっていて
私たちの常識はすごく狭くてちっぽけな世界でしか通用しないもの。
そういう気分にさせてくれるから
ルグウィンの小説は好きなのだ。
難しいけど少しずつ読み進めていこうと思っている。
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