見出し画像

高等教育における発達障害

発達障害
大学にはどのくらいいるの?
どんな支援があるの?

2024年4月1日から民間事業者における障害をもった方に対する合理的配慮の提供が義務化されました。
大学などの高等教育でも国立だけではなく私立学校も合理的配慮の提供が義務となり、より一層障害をもった方に対する学修支援に関心が集まっているようです。

日本学生支援機構(JASSO)の調査よると、大学等(大学、短期大学、高等専門学校)に通う障害をもつ学生数は増加傾向にあり、2023年では58,141人で全体の学生数の1.79%となります。そのうち発達障害をもつ学生は11,706人で、障害をもつ学生の20.1%となっています。
※JASSOが調査した大学等の数は1,168校、学生数3,247,212人。回答率100%。

発達障害には、限局性学習症(SLD)、注意欠如多動症(ADHD)、自閉スペクトラム症(ASD)、ADHD+ASDなど発達障害の重複などがあります。
DSMなどの診断基準でいうと神経発達症群としてチックなどもあるのですが、JASSOの調査では上記4つで分類しています。

では実際に支援を受けている発達障害をもつ学生はどのくらいいるのでしょう。
大学等に通う発達障害11,706人のうち支援を受けている学生は8,227人で、おおよそ70%の方が学校での支援につながっているようです。
その内訳は下記のようになっています。

限局性学習症(SLD)では
大学等に通う発達障害をもつ学生数  309人
そのうち支援を受けている学生数   228人

注意欠如多動症(ADHD)では
大学等に通う発達障害をもつ学生数  4,090人
そのうち支援を受けている学生数   2,785人

自閉スペクトラム症(ASD)では
大学等に通う発達障害をもつ学生数  4,929人
そのうち支援を受けている学生数   3,388人

発達障害の重複では
大学等に通う発達障害をもつ学生数  2,378人
そのうち支援を受けている学生数   1,826人

次にどのような支援があり、どのくらいの学校が支援をおこなっているかです。
※1,168校に調査(複数回答あり)

配慮依頼文書の配布
534校

授業内容の代替、提出期限延長等
400校

出席に関する配慮
389校

講義に関する配慮
359校

教室内座席配慮
313校

学習指導
280校

注意事項等文書伝達
273校

履修支援
237校

試験時間延長・別室受験
223校

解答方法配慮
148校

他にもいろいろな配慮がありますが、実施校数の多いものを抜粋して載せています。

大学等に現在通われている方や、今後進学を考えている方など以上参考にしてもらえると幸いです。

ただ、今回調査結果をみて感じたことは、発達障害をもつ人の割合が少ないなということです。大学等に通う学生数が3,247,212人のうち発達障害をもつ学生は11,706人となっています。割合でいうと0.36%です。
文科省が発表している調査では小中学校の児童生徒のうち8.8%に特別な教育的支援が必要だとの結果がでていることから、小中学生の8.8%に「発達障害の可能性」があるともいわれています。(そのように言い切れるかは疑問が残りますが)
それでも、小中学校で発達障害の可能性がある人数の割合8.8%と、大学に在籍している人数の割合0.36%の違いは何なのか考える必要がありそうです。


【参考文献】
日本学生支援機構「令和 5 年度(2023 年度) 大学、短期大学及び高等専門学校における 障害のある学生の修学支援に関する実態調査結果報告書」
https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_shogai_syugaku/2023.html(20241125参照)
文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する 調査結果について」
https://www.mext.go.jp/content/20230524-mext-tokubetu01-000026255_01.pdf(20241125参照)
日本精神神経学会「DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引き」医学書院



いいなと思ったら応援しよう!