小野寺裕子(ハピネス発達心理相談室)

発達障害×トラウマについて研究中。 発達障害の方の二次障害を防ぎたいとの理念のもとカウンセリングをおこなっています。 東北ではまだ数の少ないEMDRを受けることのできる相談室です。 宮城県仙台市青葉区一番町で”ずっとそこにある相談室”になれるよう精進しております。

小野寺裕子(ハピネス発達心理相談室)

発達障害×トラウマについて研究中。 発達障害の方の二次障害を防ぎたいとの理念のもとカウンセリングをおこなっています。 東北ではまだ数の少ないEMDRを受けることのできる相談室です。 宮城県仙台市青葉区一番町で”ずっとそこにある相談室”になれるよう精進しております。

最近の記事

愛着障害(反応性アタッチメント症)

愛着とは幼い時に、自分の感情に対し特定の大人(主に親)が愛情をもって反応してくれることにより形成されていきます。 怖いときや不快なときに泣いたりぐずったりすると、大人が近くにきてあやしてくれたり快適な状態にしてくれたりします。 楽しいときやうれしい時にキャッキャと笑うと、大人もうれしそうに笑顔を返してくれます。 子どもは乳児期より特定の大人と継続的な関わりのなかで愛着をはぐくんでいきます。泣く、笑う、体の動きなどで大人に対し自分の欲求を表し、愛情をもって反応してもらうこと

    • ホログラフィートーク・ベーシック

       ホログラフィートークというトラウマの心理療法のワークショップに参加してきました。  ホログラフィートークでは、過去に得ることのできなかった安心安全感や愛される感じ、自分を尊重される感覚を、昔に戻りイメージの中で体感してもらいます。自分自身で感じること、体感することで情動が動きだします。情動とともに自分は安全だ、愛され尊重される存在だということを身をもって感じ、その感覚が今の自分に統合され心の奥から癒されていきます。  ホログラフィートークのセッションでは、今もっているネ

      • ホログラフィトーク体験

        ホログラフィートークを受けてみて トラウマの治療法のひとつにホログラフィトークがあります。 ホログラフィトークは軽催眠のなかで時間を遡り、過去の出来事と向き合い解決法を自らみつけていくような心理療法です。 私自身人間関係で悩むこともあり、スーパーバイザーの先生から勧められ一度ホログラフィトークを受けてみました。 まず、今の自分の悩みの核となっていることをみつけ、それを一番初めに感じた時まで時間を遡ります。 私の場合は小学校4年生くらいの出来事まで遡り、意地悪だった同級

        • マジョリティ側の特権について考える

           マジョリティ側の特権の可視化について上智大学の山口真紀子先生のお話をEMDR学会で聴く機会がありました。  まずマジョリティとは多数派を意味しますが、必ずしも数の違いだけではなくパワーや特権があり優位な情況にいる人を指すこともあります。  一方のマイノリティは少数派で数が少ない人たちや、もともと持っているパワーや特権が少ない人たちのことをいいます。  発達障害について考えますと、マジョリティである定型発達の人たちが特権をもっていることになります。  定型発達の人たちは自

          ADHDと処理速度

          以前ジョブコーチをしていた時に、ADHDの方が働く職場の方によく言われたのが、「説明はちゃんとわかっているはずなのに、実際作業をさせると思ったほどできない」というものです。 できるはずなのにやらない、さぼっている、やる気がない…など、評価があまり良くありません。 本人は、「なんか焦ってしまいうまくいかない」と、さぼっているわけではない様子です。 なぜこのようなことになるのか、ひとつにADHDの認知の特徴があると考えられます。 ADHDの認知の特徴として、処理速度が低いことが

          セルフスティグマ 

          セルフスティグマとは、その人が自分自身に対して抱く差別や偏見のことをいいます。 カウンセリングで発達障害をもつ方とお話をしていると、この“セルフスティグマ”を抱えている人がとても多いなと感じます。 セルフスティグマを抱える人が多いのは、世の中のスティグマ(差別や偏見)がまだまだ多いからではないでしょうか。 たとえば、発達障害は人の気持ちがわからないと決めつけて排除することや、発達障害の人とは一緒に働きたくないと拒否的な態度をとること、おかしな人と偏見をもつことなどがあります

          逆境的小児期体験 -子ども時代の逆境的体験

          逆境的小児期体験(Adverse Childhood Experience : ACE)とは,小児期における被虐待や機能不全家族との生活による困難な体験のことです。 元々は肥満治療の研究において、減量を成功できない患者の少なくない数に子ども時代のトラウマがあることがわかったことから、ACEスコアと健康状態の関係についての調査が始まりました。 ACEスコアには以下の7つの項目があります。 ①    心理的虐待 ②    身体的虐待 ③    性的虐待 ④    家族のアルコー

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          EMDRって怪しい感じ?

          EMDRのセッションでは、クライエントにセラピストの指を目で追ってもらいながら、目を左右にキョロキョロ動かしてもらいます。このような方法で本当にトラウマが改善されるのか怪しい感じがするかもしれません。 しかし怪しいことはなく、EMDRはエビデンスの認められたPTSDに効果のある心理療法です。 EMDRは1989年にアメリカの心理学者Francine Shapiroが提唱してから今日まで、さまざまな研究がおこなわれ、治療効果は根拠のあるものと認められています。 また、世界保健

          自己客体化-性被害のトラウマ

          2024年6月30日に発行された、日本トラウマティック・ストレス学会誌の中に、「自己客体化(Self-objectification)」とは何かの短い記事が載っていました。 “自己客体化”という用語をあまり知らなかったため調べてみることにしました。 客体とは主体からの認識、行為などの対象となるものを指します。 客体化とは、自分自身を客体とすること、自分自身を認識、行為を受ける対象にすることをいいます。 自己客体化というのは、自分自身を他者から認識、行為を受ける対象である

          強迫性障害とEMDR

          はじめに強迫性障害とEMDRについての説明を簡単に書きます。 強迫性障害には強迫観念と強迫行為があります。 強迫観念とは、その考えが不合理だとわかっていても、頭から離れない考えのことです。 強迫行為とは、強迫観念から生まれた不安にかきたてられて行う行為のことで、自分では無意味だとわかっていてもやめられない行為のことです。 強迫性障害|こころの情報サイト (ncnp.go.jp)より EMDRとはPTSD・トラウマの心理療法です。 EMDR(Eye Movement Des

          発達障害とトラウマ ワークショップ

           「発達障害とトラウマ」と題したワークショップを開催します。  原因はっきりしない不調について、発達障害とトラウマの観点から考えてみます。  発達障害の人はその特性をなかなか周囲に理解してもらえなかったり、感覚の過敏さなどからトラウマをもちやすいといわれています。  トラウマがあるかどうか周囲も本人も気がつかずに、体調不良やメンタル不良として表れていることがあります。なんだかわからない体のだるさ、気力や集中力の低下などには、トラウマが関係しているかもしれません。  何が原因

          発達障害とトラウマ ワークショップ

          診断基準に当てはまらないトラウマもある

          診断基準に当てはまらないトラウマもある トラウマとはなにか、まずはPTSDの診断基準から考えていきます。 PTSDとは、Posttraumatic Stress Disorderの略で、心的外傷後ストレス障害のことです。症状名については“障害”とは言わずに“症”とつけることも多くなっているようで、心的外傷後ストレス症ともいわれています。 私も障害より症と呼ぶ方がしっくりくるところがあり、例えば自閉スペクトラム症、注意欠如多動症というように呼ぶようにしています。 PTSD

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          ご挨拶

          はじめての記事です。 宮城県仙台市で発達障害とトラウマ専門の相談室を開設しております。 ホームページで発達障害やトラウマのことについて記事を書いているのですが、もっと皆さんに届いてほしいと思いこのサイトにも登録させていただきました。 発達障害の人もそうでない人も、トラウマを抱えている人も、皆さんにとって有益となるような記事をお届けしたいと思います。 ハピネス発達心理相談室