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強迫性障害とEMDR

はじめに強迫性障害とEMDRについての説明を簡単に書きます。

強迫性障害には強迫観念と強迫行為があります。
強迫観念とは、その考えが不合理だとわかっていても、頭から離れない考えのことです。
強迫行為とは、強迫観念から生まれた不安にかきたてられて行う行為のことで、自分では無意味だとわかっていてもやめられない行為のことです。
強迫性障害|こころの情報サイト (ncnp.go.jp)より

EMDRとはPTSD・トラウマの心理療法です。
EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理法)は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に対して、エビデンスのある心理療法です。
EMDRとは | 日本EMDR学会より

次に、2024年5月20日に東京で開かれたカルステン・ブーム博士のワークショップワークショップより、「強迫性障害におけるEMDR」について学んだことについて書きます。強迫性障害の心理療法について関心のある方はぜひ読んでみてください。

○強迫性障害の治療法
強迫性障害に対する心理的な治療法として、持続性エクスポージャー療法(暴露療法)や認知行動療法があります。どちらもエビデンスのしっかりした効果のある治療法です。
ただ、これらの治療法では自責や恥への不安があることや、暴露により途中で疲弊してしまうことから治療が中断してしまうことがあります。

○強迫性障害とEMDR
EMDRはこれらの問題の解決策となる可能性があります。EMDRでは暴露による情緒的反応に寄り添い勇気づけることができ、自責や恥といった認知をより適応的な認知に変えていく効果があります。

○強迫性障害とPTSD
強迫性障害のクライエントはトラウマを少なくとも1つは抱えていて、そのうち46%はPTSDの基準を満たしているともいわれています。強迫観念をターゲットにEMDRをしていると、過去のトラウマ記憶があらわれてくることがあります。その場合もあらわれたトラウマ記憶にEMDRで対応できますので、問題の根っこの部分の治療にスムーズに入ることが可能です。

○強迫性障害とPTSDのEMDRセッションの違い
基本的な流れは一緒ですが、治療のターゲットが違ってきます。PTSDでは過去の記憶の一番最悪な出来事をターゲットにするのですが、強迫性障害で現実生活での強迫行為、強迫観念をターゲットとします。現実生活での困りごとに向き合いながらEMDRで強迫観念を整理していくような感じです。

○強迫観念、強迫行為で悩まれている方、EMDRも治療の選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。EMDRを強迫性障害の治療に加えることで、心的負担が少なく期間も短くなることが期待できます。


カルステン・ブーム博士はさまざまな種類の強迫観念、強迫行為の治療を数多くされてきた方で、ワークショップではどのような質問にも丁寧に答えてくれていました。

Dr.Karsten R. Bohm カルステン・ブーム博士
臨床心理学者
認知行動療法とEMDRの有資格者
ドイツ精神医学精神療法神経学会(DGPPN)のOCDガイド治療ガイドライン委員 


ハピネス発達心理相談室


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