【ヨガ】バストゥリカーという呼吸法について【呼吸法】
ヨーガにおいて、人は呼吸をすると『プラーナ』と呼ばれる生気を吸い込む事になっている。
これは空気とは違うので肺壁や横隔膜を越えて体中を巡ることができる。
自然呼吸に於いては、プラーナはそのまま勝手に空洞のようなヨーガ的身体内をまんべんなく満たし巡っている。
ところが、ヨーガ独特の作為的な呼吸法を用いた途端、プラーナの巡りには偏りが生じてしまう。
ほぼ全てのヨーガ式呼吸法を用いると、プラーナは通称『アグニ』と呼ばれる腹部に集中するようになる。作為的な深い呼吸は横隔膜を大きく動かす事になり、この身体的なアクティベーションがアグニの領域を収縮拡大させて、そこにエネルギーとしてのプラーナを集中させるのだ。
その腹部に集中したプラーナを、改めて巡らせたりコントロールするのがプラーナヤーマなのだが、そんなひと手間を経ることなく、初めから自然呼吸のブーストとして身体全体に直接プラーナを行き渡らせる為の呼吸法がある。それがバストゥリカーだ。
この呼吸法では、アグニまたはサマーナヴァーユと呼ばれる領域をコールドさせて、つまり横隔膜を動かさないようにしてアグニがエネルギーをかき集めないようにする。
最初の例えで云うなら、地面の窪みを埋めてフラットにし、全体に水が行き渡るようにするわけだ。
このバストゥリカー、日本語では『ふいごの呼吸』と訳されていて、よくそれを「お腹をふいごのようにベコベコ動かすことだ」と思っている人がいるがそれは間違いで、ここでいう『ふいご』というのは横隔膜を固定したことによって肋骨が背骨上部を支点に左右にひろがったり閉じたりする動きをそれ例えている訳だ。