【ヨガ】カパーラバーティという呼吸法について【呼吸法】
このカパーラバーティという呼吸法、昨日書いたバストゥリカーという呼吸法と混同されがちである。だが実際には「高速呼吸」という事以外はやり方も用途も全く別物であり、そもそもこのカパーラバーディーはプラーナヤーマですらなく、クリヤ(浄化法)にあたる。そして、浄化法といってもダウティやバスティのように、あるいはデトックス的な意味で、肉体としての身体を浄化するって訳でもない。
では一体なにを浄化するのかと云うと、自分の肉体と重なる形でイメージで作り上げる『ナーディ』と呼ばれるプラーナの通り道を浄化する。そういう呼吸法だ。
ほんとはこのナーディとは何なのか?なんで浄化が必要なのか?という所から説明しなければならない。イメージで作りあげるなら、初めから綺麗なナーディをイメージすればいいだけではないか?そんな疑問も当然出てこようというものだが、このあたりの説明はそれだけで単独のテーマにすべきものだし、またいずれ改めて解説するかもしんない。とりあえずひとつだけ言っておくと
「最初から綺麗なナーディを作れるなら、別にヨーガなんてやる必要ない」
さてカパーラバーティだ。この呼吸法のバストゥリカーとの大きな違いは、呼気だけを力強く意識して吸気は腹筋の緩るみによって自然に入ってくる事に任せる事だ。さらに云うと吸気と呼気の間を微かなクンバカ(止息)で区切る。イメージとしては昔のチャリンコについていたパフパフいうラッパだ。なぜ呼気だけを強く意識するのかと云うと浄化法だからだ。
パイプの掃除をイメージしてみればいい。パイプの中の汚れを掃除したければ一方の穴からホースで勢いよく水を流し込む。おのずと汚れはもう片方の穴から吐き出される。だけど、両方の穴から水を流し込んだとしたらどうだろう。汚れはパイプのなかを行ったり来たりするだけでいつまでも外へは排出されない。つまりそれが呼気と吸気をイコールにしている状態で、それでは掃除にはならない。これが浄化法の呼吸が呼気だけを強調する理由だ。
そして、この浄化法によって掃除されるナーディは主に3つ(当然他のナーディも浄化できるんだけどそのへんはわりとアドバンスな話で『無形のプラーナヤーマ』が出来てからの話になる。そのへんも気が向いたら書くかも)、右鼻を塞いで左の鼻の穴から始まるイダーと呼ばれる管を浄化するやり方と左鼻を塞いで右手の鼻の穴から始まるピンガラーを浄化するやり方、鼻の穴の事は忘れてイメージの力で頭頂部から呼気をぶっこ抜くスシュムナーの浄化(というよりも背骨まわり全般)。
このうち基本になるのは3つ目のやり方。勢いよく息を吐くと同時にその息が(これはイメージだから息でもエネルギーでもプラーナでも何でもいい)背骨を駆け上って頭頂から抜ける。背骨を汚れたパイプと見立ててケツの穴からホースで水を勢いよく入れて頭のてっぺんから吹き出すイメージだ。その際、頭のてっぺんからは汚れを運んだエネルギーの一部だけが噴き出して、エネルギー本体は頭蓋骨の内側にぶつかり、そこでストロボの様な発光が頭蓋骨の内側を満たす。もちろんこれは自分でそうイメージすると言うこと。カパーラバーティとは『頭蓋骨の輝き』、日本の古いヨガでは『頭頂光輝法』なんて言ったりもするがこのイメージングがその名前の由来だ。そしてその頭頂の発光したエネルギーを下に下ろす事はせず(だから吸気は意識しない)、一瞬のクンバカで意識を下にスタンバイさせ、また背骨の最下部から新たなエネルギーを打ち上げる。これがカパーラバーティの基本形だ。
あとはこれを他のナーディに当てはめていけばいい。片鼻づつを抑えればイダーとピンガラーが浄化されるし耳を塞げばシャンキニーとクフー、眼を押さえればガンダーリーとハスティジファーが浄化される。もちろん座った状態でクールにやれればカッコいいけど、もっと明確にイメージしたかったり身体的な感覚の補助が必要だと感じたらアーサナを組み合わせればよい。てゆうかアーサナはそのためにあると言ってもいい。