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【アドラー心理学】劣等感はバネになる

アルフレッド・アドラーは、遊園地の近くに自身の医院を開業し、そこで働くサーカスの曲芸師や道化師たちのカウンセリングを行っていました。

彼らの診察や相談を通じて話を聞くうちに、アドラーは多くのサーカス団員が幼少期に身体的な弱点やハンディキャップを抱えていたことに気づきました。
しかし、彼らはそれをただ嘆くのではなく、克服するために練習を重ね、結果として卓越した技能を身につけていたのです。

例えば、幼少期に体が弱かった人が鍛錬を重ねることで驚異的な身体能力を獲得し、人並み外れた曲芸を披露できるようになったり、足が不自由だった人がバランス芸の達人になったり、内気だった人が道化師として観客を楽しませる大胆さを身につけたりと、彼らは劣等感をバネにして努力し、サーカスで活躍する存在へと成長していました。
このように、弱点を克服する過程で、むしろ他者を凌ぐ強みを発揮するケースもあったのです。 

こうしたサーカス団員たちとの出会いは「人は与えられた劣等性を単に嘆くのではなく、それをバネに成長できる」ことを示す具体例となり、アドラーにとって大きな示唆を与えました。

彼らは「過去に体が弱かったから自分はダメだ」と考えるのではなく、「弱い部分を克服して一人前の演者になる」という明確な目的を掲げ、それを実現するために現在の努力へと転換していたのです。

アドラーは、劣等感それ自体は決して悪いものではなく、人を努力と成長へと駆り立てる原動力になり得ると考えました。この事例は、コンプレックスは本人の努力と目的次第で克服可能であり、逆に自己成長の大きな推進力となることを示しているのです。





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