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妹の起こした家族革命。星が墜ちた、朝。【寛解】
さて、前回の父に関する記事で
我が家の会津城とトロイの悲劇を
未然に防ぎ、優勝した私だが…
どうしても、
避けては通れなかった大事件がある。
それが、我が家のセカンドインパクトである。
爆心地は、他でもない妹だった。
その日は突然訪れた
あれは…妹の高校受験の日。
冷然とした、雪のちらつく朝だった。
ここしばらく、明らかに具合は悪そうだった。
朝起きれず、学校も休みがちになっていた。
身支度しないまま寝てしまったり
風呂にも入れなかった時があったり
今思えば明らかな前兆であった。
だけど、私も家族も
どうしたらいいのか本当に分からなかった。
私も、進学が控えており、忙しい時期だった。
そんな状況が、ずるずる続いていたが…
さあ、大事な公立受験の日だ。頑張って!
なかなか起きてこない妹。
私も登校日だ。気にはしつつも身支度をしていた。
今日はいつもより、声張ってんな…
大事な日に起きようとしない妹の声は、
いつもと…違った気がした。
ああ、定刻だ。
一抹の不安を胸に、寒空のもと家を去った。
連絡は、しばらくなかった。
妹は無事受験できたのだろうか…
午後を迎える頃、飛脚がとんできた。
「わ、若君。ひ、姫が、姫が。」
「姫がご乱心なされました」
後ろ髪を…何かが。
猛烈な勢いで掠めていった。
魔界となった我が家
その日から、何もかもが変わった。
我が家に、太陽が届くことはなくなった。
暗闇の中…悲痛な叫びだけが、こだましていた。
母は、妹に付きっ切りだった。
本当に、強いと思った。
私は…無力だった。
苦しみ続ける妹を前に…
ただ、そこにいる事しかできなかった。
吹けば舞う綿のように、繊細で優しい妹が…
どてっ腹にストレートキックを
お見舞いしてきたこともあった。
それにはさすがの私も…
「おお、ブッダよ…」と呟くしか…なかった。
お願いだから…帰ってきて…と。
姫、出家
そんな生活は、いつまでも続けられない。
三週間が、経とうとしていた。
我々は腹をくくった。
妹を、然るべき場所へ連れ…
状態が認められ、出家することになった。
とりあえず、一区切りだった。
みな、疲れ切っていた。だが…
重要なのは、ここからだ。
家族が真の意味で一丸とならなければ、
明るい未来を掴むことは、できない。
家族会議
ここで問題となるのが父だった。
愛する娘が、なぜこんな事に?
大きなショックを受けたようだが…
肝心な事が、認識できていないようだった。
原因論に執着し、あれがダメだった、
なぜああしたんだ、そのせいだ。と取り乱す。
そして何故か、毎回母を責める流れになる。
話はどんどんズレていく。
大切な事は「これからどうするか」であり、
「なぜこうなったか」ではないのだ。
今まで、認識が甘かったこと。
見えているようで見えていなかったこと。
どこか、他人任せにしていたこと。
全てに、決着を付けなければならなかった。
妹が帰ってくるまでに…
「親父補完計画」の進行が、急務となった…
両親に伝えたこと
もはや、ハッキリ言うしかなかった。
あまり生々しさを出すのもアレなので…
「不機嫌」の悪影響。
「不毛な争い」をやめること。
娘が乱心したという「事実」が、父の脳の…
凝り固まった壁を…ぶち壊す鶴嘴となった。
私も…頭で考えるだけでなく、それを伝える為…
真正面から、立ち向かわなければならなかった。
妹が帰ってくるまでの一年間、
私たち家族は、確かに変わり始めた。
姫、還俗
そうして…
精一杯の準備を終え、妹を迎えた。
妹は…まだまだ不安定で、少しの刺激で…
どんな化学反応が起きるか分からなかった。
この時点では、まだ中間地点に過ぎず
この先も、幾度となく危機に見舞われる。
その度に、私たちは乗り越えていった。
これ以上の詳細は語らないが…
七転八倒…傷つき、失敗しながら。
私たち家族は、大切なことを学んでいった。
そして、現在。
妹は、無事に資格を取得し
専門職の社会人にまでなることができた。
家族の力で…つかみ取った勝利である。
父も、母も…そして私と、妹にとっても。
それは代えがたいものとなった。
これから先、何が起きても
私たち家族は立ち向かえる。
「親父補完計画」も…
最早その役目を終えた、と言っていいだろう。
はぁ…長い道のりだった…
やっと、上を向けるよ。
「どうにかなるさ」という言葉は
他人ではなく自分に使うものです
当事者も…その家族も…
どうか…
どうか…夜明けが…きますように。