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わかりやすい!漢方薬〜くすり箱にあると便利な漢方薬⑥補中益気湯


よく、「元気がない」「気力がない」と言いますが、この「気」というのは、日本人が本来持っている感覚で、体の中に流れるエネルギーのようなものです。

中医学の基礎でもご紹介いたしましたね!

この、「気」が不足すると、疲れやすくなり、動くのがおっくうになったり、やる気が無くなったりします。

この、「気」を補う代表的な漢方薬は、「補中益気湯」です。



補中益気湯



日常で疲れが続いている時のほか、夏バテなどで胃腸のはたらきが低下し、栄養を全身に送ることができないために『疲れ』として出ているときにも効果的です。

特に、夏バテで食欲がなくなると、「気」を生むための飲食物の摂取が不十分となり、さらに「気」が不足してしまいます。


補中益気湯には、胃腸機能を高めて飲食物からの栄養を取り込む働きを高める効果もあります。


体の熱を冷ます「清暑益気湯」も夏バテには良いのですが、夏バテだけではなく、風邪の回復を早めたり、少し無理をした日が続いた時などの疲労回復効果がある「補中益気湯」のほうが使いやすい漢方薬でしょう。

ご家族が風邪をひいていて、自分も看病で疲れてしまっている。風邪をひいてしまうかも・・・そんなときに抵抗力アップ・体力アップにも役立ちます。


服用に適さない方

特にありません


服用における注意点

特にありません

補中益気湯に入っている生薬


補中益気湯の構成生薬

黄色の文字の生薬が、『気』を補う生薬です。
ピンク色の文字の生薬は『血』を補う生薬です。

『気』を補う生薬が多く入っているため、元気をつけるための漢方薬なんだなということがわかりますね。

黄耆



人参

参耆剤(じんぎざい)



『気』を補う代表生薬である、黄耆と人参を合わせて『参耆剤』と呼ぶことがあります。

この参耆剤の組み合わせ(黄耆+人参)が構成生薬に入っていると、その漢方薬は『気』を補うことができるのだな、体力アップ・免疫力アップに効果があるのだなと思ってください。


『黄耆+人参』の組み合わせが入っている代表的な漢方薬



 ●補中益気湯:柴胡を含む参耆剤 参耆剤の基本方剤
 ●十全大補湯:血虚・気虚の状態
 ●人参養栄湯:フレイル(病気になる手前の高齢者)・呼吸トラブルがあるときに
 ●加味帰脾湯:精神疲労を訴えて、食欲不振もあるがイライラも強い人
 ●帰脾湯:心身ともに弱り、精神不安を訴える人に
 ●半夏白朮天麻湯:胃腸強弱でめまいや頭痛を訴える人に
 ●大防風湯:体力低下や栄養失調により四肢の筋力がなく、運動麻痺がある人に
 ●清心蓮子飲:胃腸虚弱で発汗が多く、混濁尿や残尿感がある人に
 ●当帰湯:胸痛・肋間神経痛の参耆剤
 ●清暑益気湯:虚弱で夏負けする人に

参耆剤は、一時的にまたは慢性的に体力が低下している状態でその他の症状もあるときに適するものを選んで使います。

その使い分けは医師や薬剤師などの専門家に相談して行う必要があるため、ご家庭で最も汎用性の高いものは、今回ご紹介した『補中益気湯』です。


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