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ニカモトハンナ
2019年7月31日 02:27
この部屋のお風呂の扉が閉まっているのを、私は見たことがない。きーっと音のする分厚い玄関を開けると、やっぱりそこには、古い木造の味と日本の夏の匂いが入り混じっていて、私がこの家を空けていた時間の分だけずっしりと重たい空気が詰め込まれていた。毎年、7月になると仕事で京都に行く。3年目になった今年はそれもすっかり恒例行事になってしまって、出かける前は、1か月近く家を開けるのかあ、
2016年9月30日 20:35
日が暮れるともう外には涼しい風が吹いていて七分袖にサンダルのアンバランスがしっくりくる一段ずつ階段を降りるたびもわっと重たい空気が足元に絡みついて地下鉄のホームにはまだ嫌な夏の匂いが残っているあんなにさわやかな風が吹いていた地上はどこかにいってしまって眉間にしわをつくりながらなんでもない顔をするついこの間まで空の広い国道を車で走っていたのが遠い昔のように恋しくなる人が多く
2016年9月3日 01:12
久々に東京に帰った。新宿に到着するバスから見えるのは、高層ビルと人、人。しばらく自然に囲まれた人の少ない場所で暮らしていたから少し疲れてしまうかなと思っていたけれど、不思議とそんなことはなかった。山々の連なりが空の形をつくる風景があったように、ここにはまたこういう風景がある。それはどちらがいいとか悪いとかではなくて、それぞれの土地の生き方なのだということが、こうして行き来を繰り返すうちに私の