マガジンのカバー画像

虹をつかもう(2nd album)2CD

27
青春サバイバル学園小説。すべてのものの周りに色が見える。虹のようにきれいだったそれがある日突然、燃え盛った。少年の苦悩から物語がはじまる。不良がのさばり、爆弾事件が起き、ミステリ…
運営しているクリエイター

記事一覧

虹をつかもう ――色――

プロローグ 幼い頃、それは普通のことだと思っていた。 人のまわり、草木のまわり、そして、…

虹をつかもう ――仙――

2 教室のなか、もうひとつ足音が近づいてくる。軽快でテンポがいい。 そして予想どおりの声…

虹をつかもう ――暗――

5 仙人と天女の浮き方は、西の横綱、東の横綱とでも呼ぼうか。 仙人は、霞に隠れるように気…

虹をつかもう ――夕――

10 「じゃあね」奈々ちゃんが言う。塾の前で、ぼくは手を振る。 今日はコマ数の関係で、時…

虹をつかもう ――声――

13 朝が来れば、ぼくの生活の多くを占める、第一の日常、つまり学校生活の時間がくる。どれ…

虹をつかもう ――坂――

15 クラスの空気に変化が現われたのは、仙人こと七瀬の不審な行動があった、翌週のことだっ…

虹をつかもう ――染――

17 翌日から、一軍、二軍の合同会議とでも言うべきものが、活発になった。 リーダーは、レーダーチャート総合力最強のワン。その立ち姿は、狼のごとく雄々しく、逞しい。 もはや漫画雑誌を開いていても、なにも頭に入らない。何かが起ころうとしているのは容易に想像がつく。その会議に議題を付けるなら、「エイリアン退治」。彼らからは、冗談を言う余裕が感じられ、戦況はまだ、こちらに有利なのだと分かる。 しかしぼくは、教室からなるべく出ないように徹底した。トイレでさえも素早く、階上の三階に

虹をつかもう ――凶――

19 ぼくはこの頃、身を守るため、そして精神状態の悪化から、学校に行く以外は自宅にこもり…

虹をつかもう ――逃――

21 その後、教師二人が簡易タンカーを使い、ビリーを医務室につれていった。しばらくして外…

虹をつかもう ――襲――

22 今年のこの季節、ぼくの予想したよりも雨の日は多くない。気象庁も悩んだのかもしれない…

虹をつかもう ――勇――

24 追い詰められた袋小路。ぼくは背中のリュックを手に取り、開ける。ツーのつくったペース…

虹をつかもう ――友――

25 夢のような出来事だった――。 七瀬は、戦闘など何もなかったように先を行く。ぼくの塾…

虹をつかもう ――晴――

翌日――、 ぼくが登校し、ツーが不在という昨日は考えられない状況が、ここにある。 一応、…

#125 虹をつかもう 第14話 ――獣――

しかしだ。 翌週のこと。その日は朝から快晴で、真夏を思わせ、そして七瀬さんは午後いなかった。 安全であるのは、あくまでもクラス内の力学が通じる範囲。普通考えて、学校のボスが出てこないわけがない。 七瀬さんがいても、いなくても、今日、そうなっただろう。 最悪だった。五時間目が終わってすぐのこと、鼻息を荒くした、ねずみ面のツーに腕をつかまれ、廊下へと引き摺り出された。さらに階段のほうへ連れて行かれる。 はい、そうですか、と言うわけにもいかないので、一応の抵抗を見せるぼくは、首に