【社長インタビュー 05】 背伸びをせずシンプルな経営、サービスにこだわったテルメディは、介護サービスと温浴施設の利活用、その二つの課題を解消したビジネスモデル。
インタビュー取材という手法を用いて思考の《 OUT PUT 》をお手伝いするというこの企画。当時はどんな悩みがあり、どのような解決策を用いたか、社長としての履歴をカジュアルなやりとりでまとめていく。
これまでのインタビューを通して、スマートで真面目な印象の高橋社長だが、時折「バンドっぽい会社にしたい」や「社内の平和維持活動」といったカジュアルな本心、言葉が登場する。お堅い経営者インタビューにはない表現・感覚。そういったラフでユニークな視点も高橋さんの魅力であり、周りの人を惹きつける。
そう、この企画を依頼したときの事前MTGで、主たる3社の概要説明ほか、2016年に彼が個人で立ち上げた株式会社のことを知った。社名は<気絶会議>。きぜつかいぎ、、、正直、グッときました。いろんな意味が連想されますが、それを超した目線・センスに取材価値アリと決断。
高橋さんはそんなカジュアルさの中にも律があるせいか、上の世代、下の世代にも共感できる独自の周波数があり、周りをうまくチューニングさせる能力がある気がする。自分も同調してしまったその一人、、、です。
八戸東和薬品株式会社 代表取締役 高橋 巧さん
八戸東和薬品株式会社ホームページ → hachinohe-towa.com
今回(5回目)は、グループの主たる3社のうちのひとつ、株式会社テルメディについてインタビュー。これまで取材した八戸東和薬品、きちみ製麺とは違った社会への役割に、自分たちの強みを活かして取り組んでいる。
ーーーでは早速、「株式会社テルメディ」は、どのような会社、事業内容などを教えてください。
温泉、銭湯を活用したデイサービスの運営会社で、現在はおいらせ町にある「米寿温泉」という温浴施設を利用し運営しています。
世の中的に、介護初期段階、軽度介護認定者へのサービスが不足していて、軽度の人ほど行くところがないといった状況でもあります。そこで温泉という付加価値を再利用し、一人じゃ行きにくかった温泉も以前のように楽しめるように、送迎付きで利用することができます。
なぜ?再利用という言葉を使ったかというと、米寿温泉は後継者、経営面等で閉鎖を考え3年ほど休業していたのですが、通所介護施設という経営の柱を組み込むことで新たな交流の場として再稼働したんです。
テルメディは、介護サービスの選択肢の拡充と衰退傾向にある温浴施設の利活用、その二つの課題解決をマッチングさせることを基本コンセプトとして2021年10月に設立。そして翌年春に米寿温泉を再オープンしました。
ーーーあれ??この時期って、前回(4回目)でインタビューしたきちみ製麺の事業承継の時期とかぶっていると思うのですが。。。
そうなんです。きちみ製麺の話をいただく直前に米寿温泉のことを知り、動きだしたって感じです。ほぼ同タイミング。当時は、前に進まなきゃ!という思いから事業承継にセンターピンを立てていたので、どっちを選ぶ?という選択よりも、どっちもやる!という決断しかありませんでしたね。今まで培ったオペレーション能力やIT化など自分たちの強みを活かせるなと。
ただ、事業承継をすること自体(情報収集や契約締結)もそれ相応の大変さはありますが、そこで終わりではなくむしろスタートなので、八戸東和薬品のレギュラー業務もこなしつつの日々は、、、楽しかったけどきつかったですね。しかも、EO North Japan(東北エリアを中心とした経営者の勉強会)の第8期会長を務めていた時期でもあったので、今思えば無謀だったかも。笑 でも、ほんと、やるしかなかった。。。
ーーーテルメディを設立、そして米寿温泉をオープンさせてから約一年半が経過しましたが、その間、主にどのような部分に注力したのか、見い出した方向性などはありましたか?
まずは認知と信頼作りが最優先でした。経験のない自分たちが運営する介護施設に対してのイメージを改善する動き、ですかね。おごらずコツコツと。自分たちの取り組みを地域のケアマネージャーのみなさんにしっかりと情報提供することを大切にしています。
(僕ら真面目なので 笑)はじめはしっかりとした事業計画を立て、それ通りに進めようと思っていたのですが、正直、半年くらいはなかなか歯車が合いませんでしたね。単純に少し背伸びをしていて、ケアマネージャーの方に伝わりにくいものになっていました。そこで初心にかえり、シンプルな構造に方向転換したことで提供した内容が受け入れられるようになっていき、お陰様で利用者も少しづつ増えてきました。
「家じゃ見ない明るい表情になって帰ってくる」
利用者のご家族からのコメントですがほんと嬉しい。テルメディの想いとしては、介護ということに引け目を感じさせないようにしたい。言葉だけの違いですが、介護施設に行く、というより、お風呂に行く、のほうが、ご本人も気分が違うと思うんですよね。家族の方も、米寿温泉に行ってきたら、のほうが気楽で言いやすいんじゃないかと。こういう介護に関する細かな障害・ストレスも、一連のサービスを通じて自然と取り除くことができたらと思っています。
↓↓今回紹介した株式会社テルメディはこちら↓↓
↓↓今回紹介した米寿温泉はこちら↓↓
ーーー確かに、手厚いケアは介護感が強まる印象もあり、軽度の方にはトゥーマッチかも、と自分の父のときに感じたのを思い出しました。
最後に、テルメディは介護サービスと温浴施設の利活用、その二つの課題を解消したビジネスモデルだと思うのですが、そのほかにもビジネス経営における「◯方善し」が多い気がするのですが。。。
テルメディを通じて、地域資源の活用、地元の雇用、介護する家族のレスバイト・ケア、文化など、多方面で「善し」があると思っています。ストーリーがきれいな事業かなと。そして、地域の健康・介護・経済活性化のハブになれるんじゃないかと思っています。ただ、焦ることなく、着実に自分たちの施設の良さ(利用者が主体的に施設を活用できる、お風呂に入れる、といったシンプルな構成)を伝えていくことを大切にしていきたいですね。
そして今後の展開としては、施設をもうひとつ増やしたい。この先のことを検討されている温浴施設の方(現在は青森県内で)からの情報は随時受付ておりますので、気軽にお声がけください。
誰のため、何かのため、といったピンポイントの問題解決ではなく、包括的な解決アプローチを持ったテルメディ。経営もサービスもシンプルにする哲学、美学みたいのを感じました。
さて、これで高橋社長が手がけている3社の話を聞いたわけですが、今後ひとつのグループとしての道筋とかを考えているのなら、それはそれで聞いてみたい気がします。あと、個人的には思考のパーテーションや時間配分といった頭の中の整理術とかあれば教えてほしい、、、です。
↓↓ちなみに第一回目の記事【01】はこちら↓↓
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