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あぶり出しのラブレター

今まで誰にも話した事がない
私の子供の頃の話

(小さな恋物語とタイトルしましたが、改めて見たら小っ恥ずかしいのでタイトル変えました)


私は小学生時代、夏休みに入るとすぐに
母の田舎に行って
盆休みに両親が迎えに来るまで
田舎で過ごすのが恒例でした。

田舎は信号もスーパーもない
駅も無人で遠くて
(今は廃線になり駅もなくなったけど)
自然溢れる小さな村。


少し年上のいとこのお姉ちゃんがいたので
いとことラジオ体操に小学校に一緒に行ったり
海で泳いだり、釣り、虫取り、ファミコン
たくさん遊びました。



村にいた数少ない子供の中に
私と同じ歳の男の子がいました。

坊主頭だけど
黒く日焼けしてシュッとした、顔が整ったカッコいい男の子でした。

小4か小5くらいだったか…私が何歳の時か忘れたけど
いつしか
村でその男の子とすれ違うと
いとこのお姉ちゃんから
その男の子の事をどう思う?
とか聞かれるようになりました。

 
聞かれるようになると
意識するようになり


そんなある日
村にいた数少ない同じ歳の女の子から
プールに行こうと誘われました。


プールに行くと
そのカッコいい男の子(A君)
とお友達も2人で遊びに来ていました。

流れで何となく4人でプールで遊ぶことになり。


その日にA君の日焼けした顔の、とびきりの笑顔に私は♡を射抜かれて
完全に好きになってしまいました。




村の道でバッタリ会うと
私はいとこに、からかわれ
向こうはお友達にからかわれてる様子で
恥ずかしくて
それだけ。。


何となく向こうもお友達から、私を見てからかわれていたので
もしかしたら向こうも…
とか思ったけど
だからといって超恥ずかしがりの大人しかった私がどうこうできる訳もなく。

いとこのお姉ちゃんが
Aの事を好きじゃないんけ?
って聞いてきても
違うみたいに言ってしまう
A君が好きだと相談するのも恥ずかしかったんです当時の私は。



そんな日々も
盆休みに両親が迎えに来て終了。


帰ってきてからも
A君が頭を占領していて
この想いをどうしたら伝えられるのか
小さな頭でずっと考えていました。


小さな頭で考え抜いた私が取った行動は…




手紙を書く。

もう好きが溢れて伝えたくて
私の小さな胸はパンク寸前。




しかし、住所が分からない。
でも小さな村だし
そういえば祖父母の家といとこの家の住所は同じだから
あの村の住所はみんな同じなのかも??
と考え
住所問題はクリア(合ってるか知らんけど)


でも下の名前を知らない。
苗字しか知らん。

書いて送って
本人じゃない家族に開封されたら
恥ずかしすぎる。
祖父母やいとこにバレちゃうかも…



と、また小さな頭で色々考えた結果
たどり着いた答えは




あぶり出し作戦。

果汁あぶり出し作戦。



オレンジとか果物の果汁で
紙に文字を書いて
書いたら消えて見えなくなるんだけど
コンロとかで火で炙ると
文字が浮き出てきて読める。
ってやつ。



こわ。
めっちゃ怖い私。

手紙が届いたらあぶり出し…
しかもラブレターやのに。




でも小学生の私は
ナイスアイデア!
と、果汁で
今の気持ちを書いて…
自分の住所も書いて
お返事下さいって。

その一見何も書かれていない手紙だけじゃあ
あぶり出して分からんから
メモに、火であぶり出して下さいって書いて。
(その時点で家族があぶり出したらバレるという事に頭が回らなかった小学生)



住所は祖父母とかと同じ住所
名前は苗字だけ書いて

ほんまに送ってしまいました。


たまに発揮する謎の行動力。



それからずっと
ドキドキドキドキしながら過ごしたけど

もちろんお返事なんか来る訳もなく
送った封筒の表に自分の住所は書かなかったので(中に果汁で書いた)
届け先が不明だったとしても
こちらに帰ってくるはずもない手紙…


苗字しか書かなかったけど
もしかしたらあの村、同じ苗字が何軒かあったかも…

偶然、A君宅に辿り着いてたとしても
果たしてA君の手元にちゃんと届いて
火であぶられたであろうか?



そのまま音沙汰なく
また翌年、田舎へ行き
A君と再会するのですが
やっぱり気まずすぎて、意識しすぎて
顔も合わせられなくなり…

手紙なんか送るんじゃなかったな…と後悔し。


届いたのか読んだのか分からんまま。
(極めて読んだ可能性は低いけど。あぶり出してる姿が想像できない笑)



小さな恋は終わるのです。

中学生くらいまでは
盆踊りとかで見かけましたけど。




しかし、あの手紙はいずこへ?


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