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新月の夜、はじめて体験したこと。
新月に「願い事をすると叶いやすい」とか「新しいことを始めるといい」とか。よく耳にするものの、悲しいかなそわそわするだけで何もしないまま1日を終えてしまう。誕生日だってそんなものなのだ、最近は。
3/10(日)は魚座の新月だった。
そわそわするだけで終えるなんて正直切ないと毎回感じている。だって単なる「新月」ではなく「魚座の新月」とまで認識している自分がいるんだから。内心めっちゃ意識している証じゃないか。
だから何かしら行動を起こしたかった。
そして38歳にしてひとり出歩いた先でお酒を飲む、というはじめての体験をした。
──新月と満月の夜だけオープンしているBar。
こんな素敵なコンセプトが「プチ田舎」を強調する土地に存在する。
入る勇気が出なかったら通り過ぎようと思った。実際、下を向いて通り過ぎようとしたけどチラッと横目で店舗内を見るなり足が止まった。次の新月が巡ってくるころ、なぜ前回足を踏み入れなかったのかを後悔している姿がありありと目に浮かんで。こんな後悔を山ほど繰り返してきた。
普段お酒は飲まない。「大酒飲みになりそう」と身内から言われた“いつか”だってあったのに。お酒の味がわかる大人になりたかったわたしだっていたのに、無念でならない。
しかし普段飲まないからこそ、特別な体験ができて嬉しかった。
人とうまく話せないゆえ会話に入っていくことができず、過緊張で何をどう動いたらいいのかもわからず。気を遣わせてしまう存在で周りには心底申し訳ないが…わたしはといえば、とても嬉しかったし楽しかった。
日常で接点を持つ機会がないであろう人たちのなかに混じり、普段聞けないような会話が耳に入ってくる。まるで異次元に飛び込んだみたいに。宇宙空間で終始ふわふわしている感覚だった。どうして自分がここに居るのかわからないのに、居ていい安堵さがありがたかった。
照明を落とした室内でカウンター内の明かりが灯されたとき、「美しい」と言いたかった。桃色のような紫色のような幻想的な明かりに異次元度が増して、やはりどうして自分はここに居るんだろうと泣き笑いしたくなった。
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宇宙空間のようだった。
どうしてもっと早く動き出さなかったんだろう。なんで今になって知るんだろう。「どうして」「なんで」はどんな道を通ったところで肩を掴んでくる自責の念なのだけれど、自室にひきこもったままだったら抱けなかった念でもある。
あと何度わたしは、「どうしてもっと早く──」と悔いるような場面や人と出会っていくんだろう。