ロールちゃんが消えた!
ロールちゃんをご存知ですか?
山崎製パンが販売している、ながーいロールケーキのことです。
うさぎのキャラクターが可愛くて、なんだかとっても美味しそう。
スーパーでたまに見かけていて、気にはなっていた。
気にはなっていたが、手には取らずに今までやってきた。
しかし、先日、ようやく手に取りレジに向かうことになった。
特売だったのである。
いつも大荷物で買い物に行く我が身としては、
この、いかにもやわらかそうな食べ物を手に帰宅するのは、
なかなかの緊張感があった。潰れないように袋の一番上に置き、
まさに赤子のうさぎを連れ帰るがごとく、
潰れないように持って帰ってきた。
さて、初ロールちゃんである。
ロールちゃん、いざ、ナイフ入刀。8等分にした。
テーブルに夫の珈琲とロールちゃんを置いたのち、
私は自分が飲む緑茶を淹れるために台所へ向かった。
私は珈琲を飲まないので、こういう時に時間差ができる。
緑茶を手に部屋に戻ると、
ロールちゃんが半分消えていた。
残りは4等分、つまり私の分だけ。
「えっ、もう食べたの?」
私が言うと、あのね、と夫が語る。
「ひとつ食べたら、口から無くなって、」
「あれって思ったから、もう一つ食べたら、やっぱり、すぐ無くなった」
「どんな味だったか確認するためにもう一つ食べて」
「もう一度味をみたら、半分無くなった」
そんな幻みたいな食べ物なのか…。
切ないような、でも満たされたような不思議な表情をした夫を目にし、
では私も、と、ロールちゃんを口に入れた。
一瞬だった。
あっという間に、ロールちゃんは我々夫婦のおなかの中に収まってしまった。なんて儚い食べ物なんだろう…でも美味しい。
スーパーの特売の目玉になっているロールちゃん。
その儚さを思い出していると、ふと、まるごとバナナを思い出した。
まるごとバナナも山崎製パンが誇るロングセラーだ。
柔らかい生地に包まれたクリームと、まるごと1本入ったバナナ。
優しい見た目とは裏腹に、食べごたえ満点。
ひとつ食べたら、どうしてどうして、
握り飯ばりの腹持ちがするパワーフードだ。
そして、あのロールちゃんのやわらかい生地には憶えがある。
やさしい味わいのクリームにも…。
あれ? ロールちゃん、まさか、あなた…
まるごとバナナの兄弟なのでは?
そう思った私は後日、再度ロールちゃんを購入し、
また8等分した。そして、バナナも薄切りにしたのである。
クリームの部分にバナナを差し込んで食べてみた。
まるごとバナナちゃんの完成である。
まるごと1本バナナを使ったわけではないので、
ロールバナナちゃんの方が正確かもしれない。
たった一切れの薄切りバナナを入れることで、
ロールちゃんが、まるごとバナナさながらの味わいになったのだ。
しかし、ロールちゃんの良さは、あの儚さにあると思う。
だから、バナナを添えるのはルール違反かもしれない。
でも、まるごとバナナでは重たいけど、あの味が食べたい。
そんな時には、ロールちゃんin薄切りのバナナを試してみてほしい。
まるごとバナナとはまた違ったロールちゃんならではの食感が楽しめる。
もしかして、すでにやってる人がいるかもしれない。
でも自分の中では、新たなおやつの楽しみ方だったので、
こうして書いてみた。
長いこと横目で見ていたロールちゃんであったが、
今ではすっかり、私はロールちゃんのファンである。
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