【はなまめと本】『小箱』小川洋子
【はなまめと本】
📕 ➪ 【小箱】
🖋 ➪ 小川洋子
装幀 ➪ 大島依提亜
出版社 ➪ 朝日新聞出版
定価 ➪ 1500円+税
夜寝る前に読む本として
読んでいた本。
まず、表紙の美しさに惹かれた。
この金の箔押しの美しさを見て欲しい。。。
カバー絵は、
グランヴィル(19世紀・仏・挿絵画家)の
【彗星の大旅行】という題の絵。
初めて知ったのだけど、
鹿島茂先生(仏文学者)のコレクションを
オンラインから
課金ダウンロードできるシステムがあって、
そちらから使用しているようです。
ご興味のある方は
NOEMA Images Archivesで検索!
(高解像度はA4サイズで
35000円くらい。)
読み始めてから、
夜寝る時の寝落ち前用の本に決めた。
寝落ち前用の本は
静かな雰囲気が満ちている内容でないと
読めないので、
ぴったりだったのです。
そういえば昔、
九井諒子せんせいの短編漫画に
『ノベルダイブ』という表現があった。
小説を読みながら
その世界に埋没して眠りに落ちる感覚を
見事に表現している言葉だ!と感動して以来、
ずっと使っている(自分の中で。)。
『ノベルダイブ』する時は
安眠できる本を選ぶ必要がある。
ノベルじゃないけど、マンガも同じで、
『進撃の巨人』を寝る前に試し読みしてしまい
劇的な徹夜した経験が、
安眠本の選別力に存分に活かされている。
寝落ちするまでの数分で読むので
読み終わるまで時間がとてもかかったのだが、
それがかえって
静かな哀しみが満ちた世界の
ゆっくり荒廃する日常を味わうのに
必要な時間だった。
幼い子供がすべていなくなった世界に
取り残された大人たちの生活が
ある女性の視点を通して
淡々と綴られているのだが、
すべての廃墟化が進んでいるので、
SFのような雰囲気も感じられた。
【少女終末旅行】(マンガ)のような世界。
でも、ほっこりさは無い。
亡き遺児たちを思う故の奇妙な行動や風習が
人々の心を支えていて、
主人公の『私』はずっと
その行動と風習を見守り、
介添えしながら暮らしている。
『小箱』が何の小箱なのかは
ぜひ本を読んで確かめてみて欲しい。
ʕ ・ω・ )はなまめの一言。
「『美しいガラスケースに収まる幻想的な世界を想像するのは寝る前の空間を豊かにする』
ってよしこちゃんはワケ知り顔で言ってましたけど、ぼくは、正直ちょっと怖かったです。」