朝、食べない人は太っている
◆体は朝食で目を覚ます
人間には体内時計が備わっていますが、体内時計に2種類あります。
脳にある「主時計」と、肝臓、胃腸、皮膚など、
あらゆる臓器にある「末梢時計」の2つです。
「あたまの時計」と、「からだの時計」と言い換えてもいいでしょう。
「人間は日の出とともに起きる」と言われますが、
「あたま」の体内時計は「光」によって目覚めます。
朝日が目から脳に伝わり、「あたま」が「朝だー」と認識します。
目を持たない「からだ」は、どうやって朝を知るのでしょうか。
“朝食は末梢時計の時刻決定因子であり、
食べた時刻を活動期の開始と認識する”と言われます。
つまり、「からだ」は朝食によって目を覚ますのです。
◆日本人の23%が、朝食を摂らない
「朝食を食べない日が、少なくとも週に3日ありますか?」
の質問に対して、20~75歳の日本人の実に23%が「はい」と答えました。
4~5人に1人が、朝食を抜いていることが分かります。
朝食を摂らないと、どのような弊害があるのでしょうか。
◆朝食を摂らないと太る
「朝、食事をしないと糖尿病や肥満のリスクが高くなる」と
多くの疫学研究で言われています。
朝食を食べない人と、体形の関係を調べた研究によると、
肥満の人に朝食を摂らない人が多かったのです。
ダイエットのために朝食を抜くのは逆効果と言えるでしょう。
◆朝食を摂ると頭が良くなる
また、“朝食を毎日摂る子供は、毎日食べない子供よりも
学力や体力に優れている”という報告があります。
朝食によって「あたま」と「からだ」を目を覚まします。
朝食を食べない子供は「あたま」も「からだ」も寝たままで学校に行っているようなものですから、学んだことが身につかないのでしょう。
◆朝はタンパク質を食べよう
朝食に「おにぎりだけ」「パンだけ」は効果がありません。
タンパク質も豊富に摂る必要があります。
理想の朝食はこれです。
①タンパク質(夜中に筋肉の分解が始まるため)
②魚肉練り製品、魚の缶詰(ω3脂肪酸による中性脂肪を抑える)
③発酵食品(吸収しやすいタンパク質。例:チーズ、ヨーグルト、納豆)
④塩分(食欲増進、腸での栄養吸収アップ)
⑤コーヒー、緑茶(カフェインで体内時計のリセット)
参考文献
1)緒形ひとみ:「時間栄養学の視点からみた抗加齢対策」,アンチ・エイジング医学 16(1): 40-45, 2020
2)福田裕美:「概日リズム調節における光と食事の影響に関する研究動向」,日本生理人類学会誌 24(1): 1-7, 2019