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パロディスター

あらすじ・ストーリー 若手映像作家の長棟航平は、パロディストのマッド・アマノのドキュメンタリーを作ることになる。しかし、アマノは撮影をかわし、嘘とも本当ともつかないことを飄々と語るばかり。マッドとの距離が縮まらず、製作が進まないことに悩んだ長棟はある提案をする。


解説 フォトモンタージュと呼ばれる技法で、社会風刺をするアート作品を製作しているマッド・アマノを追ったドキュメンタリー。1970年代から活動するパロディストのマッド・アマノに、若手映像作家の長棟航平が距離を縮めようと試みる。監督は、インディーズミュージシャンのMVを手がける長棟航平。プロデューサーは、『誰かの花』の飯塚冬酒。


映画をみる会、3回目。

マッド・アマノは風刺作家。
知名度はあまりないが、作品は誰でも一度は見たことがあると思う。
二昔前にはテレビや雑誌に作品がよく出ていた。

彼は飄々としているが反骨精神に溢れる魅力的な老人だ。

「戦争を知っている最後の世代として若者に伝えたい」とどこにでも出掛けて行く。

孫の世代の監督が密着して撮った映像が流れる。

監督:長棟「こんな歳であちこち出掛けて辛くないですか?」

マッド・アマノ「全然辛くない。むしろこの歳だから伝えたいものがある。
今のアーティストは目をつけられたくないのか面倒くさいのか、風刺作品をやらないよね。

権力に対して中指を突き立てる気持ちがないと、面白くない」



私と同類だ!

私も歳を取ったからからこそ次世代に禍根を残したくなくてファイトしている。

ここで私はグッとマッド・アマノに引き込まれる。共鳴する。


若い監督:長棟は、バンドマン、映像作家として世界を渡り歩き、自分と向き合い、途中で放り出してしまう。

その様子をプロデューサー:飯塚冬酒が第三者としてまとめている。

ものすごく面白かった。
編集が秀逸。


上映後、マッド・アマノと監督:長棟航平のトークがあった。

マッド・アマノ「安倍さんが官房長官だった頃からパロディへの介入が激しくなった。

私も『こんな表現やめろ。さもなくばこうするぞ』という直接恫喝があった」


あー、その頃(小泉元首相時代)から物が言えなくなってたよなー。

小泉元首相は竹中平蔵と共に派遣労働の歯止めを取っ払った。

私はその頃会社初の産休を取った女性として嫌がらせを受けていたので、個人加入の組合に入って団体交渉をやっていた。

社内でストーカーされ、夫はモラハラで、それでも育児に手を抜かず息つく暇もなかった。

まだマタハラやパワハラなど言葉もない時代だった。

とにかくこの女性差別を子どもの世代まで引き継ぎたくないとの思いで必死だった。

身体を壊し眠れなくなり、眠剤と抗うつ剤を処方してもらって通勤した。


そこで私に直接嫌がらせをしてきた人は、現場で働く同僚男女だった。

当時珍しいことだったので、たくさんの新聞や雑誌に取材され紙面を飾った。

結局会社が折れて私は元の職場へ復帰できた。

もうこれで決着がついたと思い、手を引いた。

私だって心身共に深く疲弊したのだ。


その後会社が合併され地方への移転が決まり、大量のリストラが始まる。

その前から何十年も会社に貢献してきた女性契約社員を雇い止めする案件があった。

私は「今女性に起きていることは、やがて男性にも波及する!」
と言っていたが、皆聞いてくれなかった。

リストラされることになった男性は、あれだけ嫌がらせをしてきたくせに、私に相談してきた。

「これっておかしいと思わない?」と。

私「おかしいと思うならご自分で会社に言ったらいかがですか?」

「いやー、俺は家族もあるし話も上手くないからさ。
花さんなら得意かなと思ってさ」

私「私も家族があるし、得意でも何でもないですよ。
私の意見は通ったのでもう関わりたくありません」

不満気に去って行く後ろ姿を見ながら、この人達って恥の概念がないのか?と思った。

経営企画の人間と、何の資格もない現場作業員との知能の差を感じた初めての経験だった。

彼ら彼女らは地方へ赴任する勇気もなく、増額された退職金を貰って退職した。

その後40才前後の社員は次の職場が見つからずに、日雇いの派遣社員をしていると聞いた。

だからあれほど言ったのに。

バカは自分の評価と社会的評価が乖離している。

私をあれほど虐めてきたことは忘れてないぞ。


そうして今の若者は中抜きされ派遣社員として結婚も考えられないほど困窮している。



マッド・アマノ「何か岸田さんに言いたいことある人いますか?」

私は思い切って手を上げた。

私「消費税やマイナンバーカードとか怖いし不安です。
腑が煮えくりかえっています。
それをパロディとして作品を作って頂けたら嬉しいです。」


マッド・アマノ「そうですよね!素晴らしい人がいました!
一緒に政党作りましょうか!」

と言ってくれた。

私は自分の意見を言うと「面倒くさい人、自意識過剰じゃない?
難しいこと言ってマウント取っているの?」
と蔑まされがちな初老女だ。

でもこの人なら解ってくれるんじゃないか?と感じたので勇気を出して言った。

ちゃんと解ってくれて嬉しかった。
自分の直感を信じて良かった。


トイレに寄って帰ろうとした時、ロビーの奥でひっそり二人がサインをしているのを見つけた。

どうしてもサインがほしくて、友達に断ってからサインしてもらいに行った。


私「すごく面白かったです!」

マッド・アマノ「さっき手を上げてくれた人ですよね?」

長棟「あれをみて俺のこと情けないと思いませんでしたか?」

私「あそこが面白かったんですよ。
初めは青くさい若者だったのが、徐々に大人になっていく過程が見られて」


それを聞いていたプロデューサー:飯塚冬酒が、ニコニコして写真を撮ってくれた。

それが上記の写真だ。


普段なら気にもとめない作品だった。

それを提案してくれた友達に感謝する。

その後ヴィーガン専門店でお茶をした。

私は胃腸が弱くて、添加物がたくさん入った外食が苦手だ。

ヴィーガン専門店は添加物を使わずに、スパイスやレモンやシナモンで味付けをしていて美味しい。

その後下痢嘔吐することがないので、主義主張はないが楽しみになっている。

そんな選択肢を教えてくれた友達に感謝している。

友達はスイーツと飲み物で済ませていたが、私は自分一人だと調理する気力がなくなるので、ガッツリとコースで食事した。


とても信頼できる人達だと確信したので、数年前に私が侮辱されて傷ついた話をした。
いつか伝えたいと思っていたのだ。

友達1「え?そんな風に思っていたとは思わなかった。私はその場にいたけど気にならなかったし、ただただ花さんが怒っているなと思っていた」

友達2    何か荷物をゴソゴソ探し出す。


私「でもさ、権力勾配ってあるじゃん?私は自立した女性が集まる場だと思ってリーダーに意見を言ったけど、結局皆リーダー側について私だけコテンパンにやっつけられただけだったから、しばらく遠のいていたんだ」

友達2「有った!これ!」とプリントを出して見せてくれた。

そこには意見を言った人に言ってはいけない対応がまとめてあった。

友達2「花さんの話を聞いていて、これを思い出した。
その時の花さんに言ってはいけないことだらけかなー?と思って」

彼女も私もどん底の経験をしているので、精神医学の本を読み漁っている。
それで救われたことが何度もあるからだ。

友達1はエリートなので、憧れの人の真似をしたり哲学を研究したりしてはいるが、自分の中にある差別を内面化していることに気がつかないのだろう。

私は外国の戦争や日本の外人や虐待されている人に心を寄せているが、
まず眼前にある理不尽について声を上げることが大事だと思っている。

それは本当に面倒だし傷ついて疲弊するが、そこをスルーして自分は傷つかない方法で綺麗事を言いたくない。


HSPの私は他人が何を考えているか、すぐに解ってしまう。

友達1の憮然とした表情から、私を見下していることがわかった。

見下されても構わない。
私の価値は自分で解っているから平気だ。

私が臆せず偉い人に話しかけたり仲良くなることを図々しいと思っているだろう。

私は社会的に偉い人にしか話が通じないからそうしているだけ。

でしゃばりなんじゃないよ。

身の程を弁えているからこそ、話が通じない人とは話さない。

あなたは私を見苦しい貧乏人と思っているだろうけど、私は人を笑顔にさせるユーモアと気持ちを即座に言語化できる能力がある。


それでもね、私はあなたを好きだし、知性的な常識人として信頼している。

常識人のあなたと、ちょっと癖が強いけど挑戦し続けている社会的弱者の私と友達2は、とてもバランスの良いトリオだと思う。

これからも仲良く映画をみにいきたいよ。


不愉快にさせたのならごめんね。


人間不信な私がやっと辿り着いた友達。
本当にありがとう。

かけがえのない友達。大好きだよ。


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