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ゆっくり走りたいよ北海道

 誰しも苦手なことってありますよね。どう克服するかは人それぞれだけど、案外「うまく付き合っていく」っていう選択肢もありかもしれない。わたしは、運転にまつわる苦手意識と向き合う中で、学びました。

 車の運転自体は大好き。お気に入りの音楽を流しながら、のんびり景色を楽しむドライブは最高…なのに、台無しにする困った現象があります。そう、あおり運転です。

 北海道の道路は本州と比べて「広くて走りやすい」と評判ですが、その良さが逆にプレッシャーになることがあります。

 車の多い市街地じゃあまり見かけないのに、郊外に出るとよく現れる「早く走りたい系」の車たち。こっちも流れに乗って走ってるつもりなのに、後ろから「抜かせてくれないかな〜」的なオーラを出してくる。

 道路交通法が変わって、あおり運転が厳罰化されても、この「急いでます感」は健在。急かされながらの運転って落ち着かないし、何より事故の元です。

 特に気を遣うのが、郊外にありがちな、片側一車線でだらだらとした直線と峠道。道央圏でいうと、倶知安から支笏湖畔を通って苫小牧に向かう国道276号(一部453号と重複)や、札幌から道南方面への近道、国道230号。該当する区間では、ついついバックミラーを気にしてしまいます。

 自分なりの対処法のひとつは、タイミングが合えば、大型車の後ろに付いてしまいます。最近はデジタルタコメーターが普及して、大型車の多くが、安全運転と呼べる速度で走っています。前は見づらくなるけど心強い。それでも、大型車ごと追い抜かしていく車はいて、ヒヤヒヤします。

 最善策は、急ぎたい車が後ろに来たら、さっさと道を譲ってしまうこと。「はい、どうぞ〜」って感じで速度を緩めて、路肩に寄せてしまいます。

 でも、意外な落とし穴が。バイクだとサッと抜いていってくれるのに、車の場合、追い越せる場所でもなかなか抜かしてくれないことがあるのです。路肩に寄せると向こうも速度を落としてきて…なんだかな〜という感じ。

 そういう時は、路肩に安全な場所を見つけて、思い切って止まってしまいます。そうすると、さすがに追い抜かしていくんですけど、正直、気持ちはモヤモヤとしたまま。

 この謎について、とある役場の人に愚痴ってみたところ、「地方は娯楽が少ないからさ。ちょっとあおり気味に運転することで、ストレス発散してるんだよ。追従したがるのは長く楽しみたいからだよ」って、結構真面目な感じで話すんです。

 そんな考え方もあるのかと驚きました。実際にそうだとしたら、ちょっと困りもの。それまでは「前に1台いれば、スピード違反などの取り締まりがあっても逃れられるからだろうか」くらいにしか考えていませんでした。

 結局のところ、自分のペースを守りながら、周りにも気を配る——当たり前っちゃ当たり前なんですけど、これが自分なりの解決策。安全で楽しいドライブの秘けつです。

 焦る必要なんてない。慌てる必要もない。だって、競争じゃないんだから。

 とはいえ、後ろの車なんて気にせず、マイペースで走っている人も見かけます。要は自分が繊細すぎるだけなんだろうな。正直、うらやましい。あんな風に図太くなれたら、もっと気楽にドライブを楽しめるんだろうなって思いながら、きょうもハンドルを握っています。

タイトルは、北海道内で今でもよく見聞きする交通安全のスローガン「ゆっくり走ろう北海道」から思いつきました。

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はなふさふみ
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