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ときどき自分のために花を買う

 いつからか、自分のために花を買うことが、ささやかな楽しみになりました。誰かへの贈り物ではなく、誰かに見せるためでもない、自分のために選ぶ花。スーパーに入っている生花店で、ドライブ途中の道の駅で、目に留まった花を手に取ります。

 選ぶときの気分が、不思議と花に反映されているようです。気持ちが上向きの日は明るい色を、物思いに沈む日は優しい色合いを。買い求めるのは2週間に一度くらいですが、その時々の心模様を映し出す鏡のようで、自分ごとながら面白いなと感じています。

少し特別な日に

 どんなに掃除や片付けをした部屋でも、何か物足りなさを感じることがあります。そこに、たとえ一輪であっても花を添えるだけで、表情が様変わりします。心が落ち着き、香りがあれば穏やかな気持ちに。水を替え、茎を切り直すといった世話も、小さな楽しみになります。

 花が好きで、庭いじりも楽しんでいますが、立派な花瓶は持っていません。無印良品の見切り品コーナーでたまたま見つけた大きめの花瓶と、セリアで買った小さな花瓶の二つだけ。

 ジャムの空き瓶やアイスコーヒーが入っていた容器を使うこともあります。小さな器に水を張り、花びらを浮かべてみることも。誰かに見せるわけではない、自分の心を満たすためなので、何でもありです。

 日差しの弱い季節は、部屋も心もくもりがちです。そんなときこそ、花を買いに出かけてみる。最初のうちは「自分のために花を買う」ことに照れくささを感じて、つい笑ってしまいましたが、いつしか心からの笑顔に変わっていきました。

こちらも特別な日仕様

 花は生き物なので、いずれは枯れてしまいます。でも、その過程にも独特の美しさがあるように思うのです。人は年を重ねることを恐れがちですが、枯れゆく姿に心ひかれたとき、自身の変化も違った角度から見られるようになるのではないでしょうか。

 一本一本の花を愛でる時間は、何かと慌ただしい日常から解き放たれる、ちょっとぜいたくなひとときです。友がみな、われよりえらく見ゆる日よ。花を買い来てしたしむ相手はいませんが、自分のために花を買い、自分と向き合う時間をこれからも作っていこうと思います。

これは買ったものではなく
手掛けている庭から適当に摘んできたもの

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はなふさふみ
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