宝飾業界はあまり競合しない(多分)
宝飾業界に入る前の宝石好きな素人時代にも、業界に入ってからも
「宝石と競合するのは他の宝石店ではなく、車や旅行だ」
という話をよく聞きました。
例えばボーナス時期に欲しいものを考えるとき
「A店の宝石か、B店の宝石か」
ではなく
「車を買おうか、それとも旅行に行こうか」
という比較になるということでした。
宝石を求めて旅行に行けば一石二鳥なのですけれどね。
業界内でも、私はルビー・サファイア・エメラルドがメインの色石の卸にいたので、あまり他の人と被らなかったのかなとも思います。ダイアぐらいはありましたが、では自社で催事をする時に専門外のものはどうするのかというと、他社から借ります。
小売りをする時は幅広く商品を揃えたいので、真珠は真珠屋さんに借ります。ダイアも自社の在庫以上に幅広く置きたい時は、ダイア屋さんに借ります。
逆に、真珠屋さんが催事をする時に「ルビー貸して」だとか、百貨店でエメラルドフェアがあれば「エメラルド貸して」だとか依頼があるので、持ちつ持たれつなわけです。
真珠屋さんの営業の方がボヤいていました。
「真珠は重いっすよー。石の方がまだ軽いんじゃないですか?」
なるほど……扱う品目が違うとそんなに違うものか、と聞いていて面白かったです。アンティークの世界も全然違いますね。
実際、高価な石は相応のルースケースに入れるので、それなりに重いです。
それよりも、帰社したら「やだ今日、一億円分持ち歩いてた!」なんて方が、違う意味で重かったです。一石で2000万円のルビーなどありましたので。
Graduate Gemologistという同じディプロマを取った人の中でも、私は色石の後に希少石方面に行きましたが、クラスメイトたちは、ダイア、真珠、デザイン、卸、小売り、呉服、ブランド、グレーダー、買い付け、銀粘土……色々な方面に散らばっていきました。
たまに、T真珠に入った男性がM真珠に入った女性(共にクラスメイト)に
「オマエさぁ、偵察もいいけど上司(恐らくオジサマ)と一緒に来んなよ。不倫カップルみたいだったぞ?」
なんて、飲み会で暴露されることはありましたが。
みんな、この厳しい時代にどうしているかな、と思い出します。
近隣のお店巡りでもしてみようかしらと思うものの、この業界は出入りが激しいのでどうでしょうか(ヒトのことは全然言えませんが)。
切磋琢磨しつつも、コラボしたいですね。それぞれの得手不得手を補い合うような関係性で、何か良いものを作れたら……と思います。
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