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〖エッセイ・コンテスト応募作#心に残る上司の言葉〗「忘れられない一言、本当は…。」
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「HANAちゃん。仕事はセンスだから。 だからね、HANAちゃんは大丈夫!」
この言葉は、私の上司がある時、 私に言ってくれた言葉です。 続けて上司は、こう言いました。
「この言葉は、君のお父さんが、昔、 僕に言ってくれた言葉なんだよ。」と。
上司と、私の父は前職で仕事仲間だったのです。 その事は入社時から知っていました。
しかし、巡りめぐって、 父の言葉を上司から聞く事になるとは思っていませんでした。
父の言葉。
上司が伝えてくれた、 今でも大切に思っている言葉のひとつです。
この「言葉」は、私がまだ新しい職場に入って間もない時、慣れない仕事に悪戦苦闘している時に、上司から伝えられた言葉です。
まさか、自分の父親が自分の上司に掛けていた「励ましの言葉」が、上司の心の中に残り続け、そして、自分自身に掛けて頂けた、という現実に驚きました。
しかも、業種が違うのにも関わらずという事もありましたので、なんとも不思議な感覚にもなりました。
しかし、とても温かい気持ちになりました。
我が家は母が早くに他界し、シングルファザーでした。
一緒には暮らしていましたが、とても忙しい父でした。
あまり、幼少期に共に過ごした記憶も、残念ながらありません。
父の働く姿を、もちろん見た事もありませんでした。
それが、その上司の方が、「父の言葉」を覚えていて下さった事。
そして、素直に私にその言葉を掛けてくださり、励まして下さった事にも、本当に感謝の気持ちで一杯になりました。
「あぁ。お父さんも一生懸命に仕事と、仕事仲間に向き合ってお金を稼いで来ていてくれたんだな…。」と。
「言葉」は、時として「巡る」という事を考えさせて頂く、とても貴重な体験でした。
しかし、「センス」ってなんでしょうね。
ちょっと悩んでしまいますが、簡単に噛み砕くと、自己評価でいえば「自分に向いているか、向いていないか。」で有り。
他からの評価でいえば、「頑張っているのが伝わって来るか。成果を上げれる人材か。」だと、解釈しています。
しかし、私が思うに父も上司も、本当にシンプルに私を「励ましたかった。やる気や自信を出して欲しかった。」のかなと、感じております。
「センス」と表現する事は、相手を否定もしていないし、完全に肯定もしている訳では無いと、私は個人的には考えました。
だからこそ、「部下自身に、自分で考えさせる事」で、その時例え仕事がうまくいっていようが、いまいが、どちらの状況下でも。
私は凄く「希望」の持てる言葉だなと感じました。
「思いやりの一種」だと、私は捉えています。
当時私は、製造業のライン作業員。しかも時短勤務のパートでしたが、4年間勤めました。
作業毎にランクがあるのですが、最高ランクを3つの作業で、最高から1つ下のランクを1つの作業で頂きました。
その中で、新しくその作業に携わる新人に作業を教育、指導するという責任ある仕事を任せて頂けるまでに成れました。約4年間で、8名程の教育、指導をさせて頂きました。
しかし、辛い事や、作業員同士のトラブルも、もちろん怒られたりした事もあり、順風満帆とは行きませんでした…。
最初の頃はうまく教育出来ず、「そんな指導じゃ駄目だ!」と上司に怒られたり、同僚からは、「え?それ、違うんじゃない?」と指摘されたりしました。
それが悔しくて。悔しくて。
作業手順書を読みまくり、自分も再度、細やかに作業の勉強をやり直しました。部品の名前や、作業時の失敗例や、今までに起きた不良事例、またはコツ、部品不良の事例、作業の効率化、一人一人の癖についてに至たるまで、勉強しまくりました。
そうして行くうちに、
「こんなに丁寧に教えて頂いたのは、初めてです。」と教育を受けた方が言って下さったり。
「やっぱり、教育は、HANAさんがやるのが1番いいね。」と、同僚からも認めて貰える様になりました。
私の中でも、「教育、指導とは。作業をただ教える事だけで終わりでは無い。その人が一人で間違えなく作業出来る様にする事だ。」と最終的に気が付く事が出来ました。
そこまで、自分が成長出来たのは、あの励ましの言葉が経験と共に、着実に自信に変わって行ったからだと思っています。
巡りめぐった、父から上司へ。
そして、その上司から娘である私へ届いた。
「仕事は、センス!」が、自分のやる気に火を付けて、明かりを灯し続けて居たんだと思います。
時短勤務だからこそ、「短」になっている部分を
「成果、実績」として埋めたかったのです。
「仕事は、センス。
だから、あなたは、大丈夫。」
この言葉は、相手を良く見て、理解し、信頼関係がなければ、言えない事だと感じます。
優しい父らしい一言だと感じました。
私はあの時、上司の口から出た「父の言葉」に確実に励まされていました。
このエピソードが、私にとって最高の「心に残る上司の言葉」です。
きっとこの先も。
これ以上に心に響く言葉には出逢えないでしょう。しかし、私もどなたかに「巡りめぐる様な素敵な言葉」を誠実に伝えていきたいと思う様になりました。
父はある意味で、私の「上司」だったという捉え方も出来たので、私は父と言葉を伝えて下さった上司の方を今でも尊敬しています。
「係長。父の言葉を覚えていてくださり、あの時私におっしゃって頂き、本当にありがとうございました。」
そして…。
「ありがとう。お父さん。」
【HANA。】
#心に残る上司の言葉
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(パソコン画面を慌てて撮影したのでボケてます💦)