〖エッセイ〗「親子で挑んだ夏休みの宿題」
これは、娘がまだ小学生時代の話である。
さて、夏休みといえば自由研究に、絵やポスター、新聞作りに、作文、工作。
学校、学年に寄って様々だが、たくさんの宿題が出される。
正直に言ってしまえば、親の宿題でもある。
特に低学年のうちは、見てやらなければ出来ない。
家の娘は負けず嫌いだ。小学校の頃は特にその気持ちが強かったと思う。当然ながら、夏休みの宿題も「何か賞が欲しい!」と意気込んでいた。
娘の学校は理科系の自由研究に限らず、料理を作った、どこどこへ行きました、こんな物を作りました、などなんでもいいが、模造紙にまとめ、提出するという自由研究だった。
ただし、賞が貰える可能性の有るのは、学校選抜で選ばれ、全国の理科展に出品される作品のみだった。
さて、、、何を1年生の子にやらせたらいいものか。
そう悩んでいた矢先、夏休みの数週間前から、アパートの玄関の所にツバメが巣を作ったのだ。最悪だと思った。糞の始末やら、ツバメに攻撃されるやらで大変だと思ったからだ。
パート先へ行き同じ立場のママさん達に愚痴った。「ツバメが…巣を作って。最悪です。」と。
すると、1人のママさんが
「HANAちゃん、それラッキーだよ。そのまま自由研究にしちゃえば。」と。
なるほど…。まぁ昔からツバメは幸せを運ぶというしなぁと思い、帰ってから、娘に話してみると、2つ返事で「うん!」と返ってきたので、我が家の自由研究は、「ツバメのかんさつ」になった。
とはいえ、小学校1年生。まだ、平仮名だってようやく形になってきた位のレベル。
さて、どうするか。
我が家の場合は、年齢を考慮し、なるべくシンプルに計画を立てた。
①変化、気づいた事があった時だけ記録ノートに書く。
②参考文献を利用し、実際の記録ノートと照らし合わせ、分かった事を模造紙にまとめる。
これだけにした。
夏休みは、まだだが、ツバメはもう巣を作っている。この日から「ツバメのかんさつ」は、スタートした。
観察ノートの内容は、本当にシンプルだった。
「◯月◯日ツバメが巣を作った」
「◯月◯日ひながかえった。◯匹くらいいる。」
「◯月◯日親鳥がひなにえさをたくさんあげている」
小学校1年生のレベルではこんなもんだ。
ところが有る問題が発生する。
夏休みが終わりに近づいても、ツバメが巣立たないのだ(笑)
これは、予想外だった。
もっと早く巣だつと思っていたツバメ。
結局夏休みの残り2日前くらいまで、居座ってくれた(笑)
巣立ったら、あとは参考文献と記録ノートを元に模造紙にまとめる。
これは、1年生にとってはかなり、難しかったと思う。文章は、分かりやすく箇条書きにさせた。
それから一緒に文献とノートを見ながら、「よし、ここはこうだったのが一致しているから、こう書こうか?どう思う?」この作業を永遠と繰り返し、やっと下書きが終わった。
なんと、模造紙5枚以上。
もうこの時点で、娘は疲れ果てている。
「頑張れ!あとは、マッキーで下書きをなぞるだけだよ。消しゴムは、ママが掛けてあげるから!」
3枚くらい、下書きをなぞったところで泣き出した…😢無理もない。覚えたての文字をこんなに書くなんて、1年生には過酷である。
「頑張れ!あとちょっと。」励ましながら、なんとか、全てを終えた。
夏休みの前からよく頑張った。
夏休み明け、学校に持って行くとやはり理科系の自由研究をやった子は少なかった。
学校選抜にも無事選ばれ、まずは地区展に飾られたので、見に行くと、金の印が3枚ついており、「郡展へ出品」の札がつけられていた。
これは嬉しかった!泣きながらやった甲斐があったね。毎日観察した甲斐があったね。と、褒めてあげた。
郡展へ出品されたのも見に行ったが、さすがに県展へは選ばれなかった。
でもこれだけでも、大満足。
そう思っていた数日後、学校から夕方電話が入った。なんだろうか。嫌な予感がよぎる…。(笑)
恐る恐る出てみると、
「◯◯さんのツバメの観察は、評価が高く、県展への出品はなりませんでしたが、理科系の先生方が参考にする教材へ、掲載させて頂いてもよろしいでしょうか?」という電話だった。
まさに、ツバメの運んで来た幸運だ✨
娘と一緒に喜んだ。
後日、掲載への承諾書というのが正式に届きサインした。
1年生の自由研究は、大成功を納めた。
さて、2年生。「今年も理科展を目指す!」という娘。勘弁してくれよと、内心思いながら、夕飯の支度をして、きゅうりを刻み、塩もみをしていた。
あ!これにしよう!1日で終わる!!
私が娘に提案したのは、
「塩の力!野菜の水分量調べ」
である。
「いろんな野菜にさ、塩を掛けて水分量を時間と共に計るのは?どう?1日で終わるよ!」
まぁ、これも2つ返事。「うん!やる」と。
好きな野菜を選ばせて同じ量の塩をかけ、同じ時間でどのくらい水分がでるかをチェックする。至ってシンプル。
2年生になったので、ある程度は自分で考えさせた。模造紙に書く構図や何かは手伝った気がする。あとは、娘が理解しずらい部分のみ助けた。今回も記録ノート付。
さて、夏休みが終わり、学校選抜で選ばれるか心配したが、やはり低学年の理科展、出品者は少なかったみたいで、2年生もまずは、地区展へ選抜された。
飾ってある会場へ、行くドキドキ。
金の印3枚!2年生も、郡展へ出品された。
私は内心この内容でいけるのかと、驚いた。
と、いうのも、展示会を見てみるともう凄いレベル!
「これ、絶対親が全面協力してるでしょ!」ていう凄いたくさんの作品があるからだ。
2年生も県展を願ったけれど、叶わずだった。
それでも、よく頑張ったと思う。
3年生も挑戦したが、さすがに3年生にもなってくると、理科展へ出したい子も増えてくる。
3年生では、学校選抜から外れてしまった。
ちなみに、3年生の時にやったのは、
「夏の切り花。長持ち大作戦!」
これは単純。同じ状況下で水に何を混ぜたら、切り花は長持ちするのかと云うものだった。
夏休みの宿題で、もう一つ、娘が入選を狙ったのが絵である。近所のスーパーマーケットのグループが主催する夏の絵のコンテストだ。
娘が1年生の頃は「スイカをたべている絵」を書いた。最初、「出来た!」と見せて来た時、あまりにも寂しく感じた。自分とスイカしか書いていなかったからだ。
まず、わたしは、いいと思う部分は細かく褒めた。「この、◯◯ちゃんよりも大きく見えるように書いたスイカは最高だね!そして美味しそう。」と。
次に色々聞き出してみる。
母「スイカはどこで食べたの?」
娘「おばあちゃんの家。」
母「じゃあ、おばあちゃんの家の部屋をイメージして書いて見ようか。」
娘「分かった!窓はここにある。」
すると、絵に背景が足される。
母「食べた時、どうだった?」
娘「う~ん。暑かった。」
母「そしたら、どうしたら、暑い感じが伝わるかな?」
娘「太陽が出てた!あと扇風機もまわってた!」
すると、絵に暑い雰囲気が足される。
この作業を何回か繰り返して、紙いっぱいに夏休みの思い出を書いた。
娘は絵が上手い訳ではない。
低学年の絵は個性が、とても大事だと私は思う。
この時書いた絵は、ニシザワ賞という、スーパーマーケットの名前のついた賞を貰った。
2年生の時は、庭に飾ってある花の絵を書いていたので、1年生の時と同様に色々話しかけてみる。
母「花も茎も一色じゃないね。本物を良く見てごらん。少し枯れて茶色部分が、あったり、茎の部分の緑も花も。よく見ると色々な色があるね。」
娘「うん!」
2年生の時はこのぐらいしか話さなかった。
それでも、同じニシザワ賞を貰って帰ってきた。
1、2年の夏休みの宿題は、本当に大変だ💦
親がどこまでを手伝うか。
どう導くのか。
それによっては、今後、違う勉強への好奇心ややる気に直結するからである。
私自身の子育てに対しての考えが一つだけある。それは、「子供扱いしない事。」子供は、大人が考えるよりずっと立派であるからだと考えるからだ。
いい部分はより、リアルに褒める。
だけど悪い部分も、リアルに伝える。
ずっとそうしてきた。
これからも、それを変えるつもりはない。
1、2年生の夏休み明け、沢山の賞状を貰ってきた娘は本当に嬉しそうだったのを覚えている。
「頑張った証拠だよ!」
と一声かけた。
もうあとの学年は、ほぼほったらかしだったけど。だって、めんどくさいだもの。
小学校の夏休みは、遊べ遊べ~!!
と、小さかった我が子の夏休みを振り返った。
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