「空気は読まずに、吸って吐くもの」ドラマ《凪のお暇》の感想
最近、映画をよく観ておりまして。
視聴するジャンルは普段、考察系やどんでん返し系が多いのですが、連続で観ていると気分がなんとも言えなくなることがあるんですよね。
「この映画は何が伝えたかったんだろう」とか「あの時のあれは?」「理由付けこれだけ?」とか。
そんでもって殺伐とした雰囲気の作品ばかり観てると思うんです。
たまには純粋なハッピーエンドが見たい!と。
そこで、今回選んだのは人気と名高い《凪のお暇》
決め手は”ハッピーエンドそう”だったこと。
連続ドラマであれば何十話にもわたって物語をひも解いてくれるだろう!
とにかくハッピーエンドであってくれ!と願いながら全話視聴しました。
※全話視聴したあとの感想なので、未視聴の方はお気をつけください。
あらすじ
節約が趣味の28歳OLの主人公・大島凪は、常に空気を読んで周囲に合わせて目立たず謙虚に振る舞い、くせ毛を時間をかけてストレートに整えるなど女子力の高い自分を作り上げていた。ある日、凪を蔑む同僚たちの陰口を知り、さらに隠れて交際している我聞慎二が性行為目当ての旨を彼の同僚らに話しているのを目撃し、過呼吸で倒れる。以後、会社を辞め、家財を処分し都心から郊外へ転居、全ての人間関係を断ち切った凪は、ゼロから新しい生活を始める。(引用:Wikipedia)
要は、都心の仕事を辞めて家財も捨てて、郊外で新生活をスタートします。
郊外の新居には小銭拾いのおばあちゃんや、主人公のように空気を読みまくる小学生とその母、ベランダにゴーヤを生やしてるパリピイケメンが住んでいます。
顔面偏差値高すぎボロアパートでの生活を通して、人生のお暇中に成長していきます。
主人公:大島 凪(黒木 華さん)
天然パーマが特徴的な女の子なのですが、外国人みたいでかわいい!!
一貫して白を基調としたTシャツを着ていてそれがめちゃくちゃ映える。
着ているTシャツのプリントが現状とリンクしていたりして、毎回今日は何のTシャツ着てるんだろうとワクワクしました。
この時は退職した会社の人と決別する時でした。
会社にいた頃は空気を読んでばかりいましたが、会話でジャブの止まらない同僚に言いたいことを言いまくって成長を感じました。
会社員時代では本当に考えられない・・・。
物語とは別に、こういった”遊び”で色々感じ取れるドラマって楽しいし、気づいた時にちょっと感動します。
男1:我聞 慎二(高橋 一生さん)
会社員時代の主人公の元カレ。
会社でデキル男を演出していたのですが、第一印象から既に「この人胡散臭い」でした。
実際はモラハラ気質のやばい人だったのですが、凪にだけめちゃくちゃ不器用過ぎる感じでちゃんと凪のことは好きな様子。
喜怒哀楽がとにかく激しくて、この男のターンは好きでした。
泣きすぎ、キレすぎ、言い過ぎ、ストーカー過ぎ、メンタル豆腐過ぎ(笑)
でも会社や家族の前では凪と同じように空気を読んで苦しんでいる人なんですよね。少し凪と性質が似ていると思ったし、だからこそ何か近いものを感じて付き合うに至ったのかなと。
主人公が闇落ちした際は泣いてでも話し、凪の友達の問題も解決しようとするなど、凪の為ならと不器用にも一途に奔走する慎二を観ていて「あ~ヤバい人だけどいいところもあるじゃん」なんて思っていたら、慎二のスマホでの凪の登録名が「もじゃもじゃブス」
感動を一瞬で台無しにする男、それが慎二。
モラハラの極みで始まりましたが、物語の最後では自分のいない未来であっても凪の背中を押してあげられるくらいにまで成長したのが良かったです。
男2:安良城 ゴン(中村 倫也さん)
新居であるアパートに住む、パリピな激ゆるイケメン。
とにかく最初から距離が近い。
彼にはパーソナルスペースという概念が無いのか。
メンヘラ製造機の異名を持つ彼はその名の通り、人が欲しいと思う言葉を言ってくれるし、いつでも肯定してくれるしで、人をダメにするソファを擬人化したような存在。
凪もゴンがダメな人だと分かっていてもなかなか離れられない・・・。
現実でもあるあるなので、闇落ちパートは観ててより現実味がありました。
丁度一緒にドラマを見ていた妹も以前ダメ男に引っかかっていたので、こちらの気持ちを分からせる良い機会でした。
物語が進み、ゴンが凪への恋心に気づいたあとも、ライバルの慎二となんだかんだ仲良くやってて面白かった。
慎二が会社を休んでお暇中の時もゴンの家で一緒に住んでるし、抜け駆け無しにただ一途に凪を想っている様子が本当に優しい人なんだなと感じさせられます。
ただね・・・めちゃくちゃ笑ってしまった場面があって。
か、風強すぎやしないか?!
この場面、「スプレーで髪の毛固めたんか?!」ってくらいの強風で、髪が全部後ろにもってかれています。
「ゴン、カッコイイね~!」って言いながら妹と観てたけれど、ここは強風に全部持ってかれました(笑)
おかげで二人が何話してたか全然思い出せない。
そんな凪の三角関係は、どちらも選ばずに終わります。
序盤から「どっちもクズいからどっちもやめとけ」って結論だったのですが、本当にそうなると少し寂しかったり。そう感じるのは、凪だけでなく慎二もゴンも”凪のお暇”を通して人間として成長したからだと思いました。
凪にとって今までは読むばかりで苦しいだけの”空気”でしたが、新しい環境でゴンと出会い、心地良い空気を経験し、今度は自分が”美味しい空気をあげられる人になりたい”と思うように。
慎二はすべてを捨ててボロアパートに移った凪に「お前は絶対変われない」と言いましたが、最後の水族館で「お前は絶対大丈夫」と前向きな気持ちで後押しできるように。
ゴンはメンヘラ製造機を卒業して、凪ときちんと向き合い、美味しい空気をあげるだけでなく、もらう側の気持ちも分かるように。
タイミングが合わず、みんなそれぞれの道を行くことになりましたが、ハッピーエンドってことで楽しく視聴できました。
恋愛ジャンルはあまり見ないのですが、観だすと面白くて止まらなかったです。なにより浄化される気がしました。