里山里海のオーベルジュ~「VILLA DELLA PACE」
ドライブでたまに出かける能登。
海あり山あり里ありの日本の原風景のような景観は、いつ来てもほっとさせられます。
また能登は「能登の里山里海」は世界農業遺産にも認定されていて、伝統的な農林漁業が守られ、多様な生物、植物が生息し、在来種の野菜栽培が盛んなど、サスティナブルな地域でもあります。
そんな能登に魅せられて、東京から移住されたシェフ・平田明珠氏が開いたオーベルジュに行ってきました。
平田シェフは七尾に移り住んだ2016年より、今とは別の地でイタリア料理店「VILLA DELLA PACE(ヴィラ・デラ・パーチェ)」を営んでいらっしゃいましたが、2020年11月、満を持してオーベルジュとして移転オープン。
ずっと気になっていたお店だったのですが、微妙に遠いのと、アクセスが車で行くほうが楽だったのとで、なかなか足が向けられませんでしたが、オーベルジュなら話は別。
泊れば車で行ってもお酒が楽しめますからね。
さて、チェックインして通された部屋からは、レストラン棟と能登の穏やかな内海が望めます。部屋でぼーっと景色を眺めるだけでも心地よい。
レストラン棟は海に面していますが、穏やかなので、まるで湖を見ているよう。ずっと見ていても飽きません。
さあ、いよいよディナーが始まります。
ここ、ヴィラ・デラ・パーチェでは平田シェフが愛してやまない能登の里山の恵みを存分に使った料理が楽しめます。
まずはお腹を温めて、ということで、一品目は蕎麦がき。地物のそば粉を使い、能登の原木しいたけ「のと115」のお出汁、お塩で。なんだか韓国のお粥を出すスタイルを思い出します。
アミューズ。サヨリの大きいこと。この日はいい鯨が手に入ったようで、メインとアミューズに。アミューズは肝を使ったパテで、これは初体験。
赤烏賊 野蒜。
牡蠣 山菜。能登のぷりっぷりの牡蠣と近隣でとれる山菜をたっぷりと。
リゾット 真鯛 豆。地元の漁師さんから絶対うまいから作ってみろと言われ、試しに賄で作ってみたら本当においしくて、急遽メニューに登場した一品。鯛の出汁と塩、シンプルながら、一口ごとに頬が緩みます。
ラザーニャ 七面鳥。輪島で飼育されている七面鳥を使ったラザーニャ。七面鳥を育てている農家は全国で3か所ほどとか。濃厚だけれども、もっと食べたくなる一品。
畑。フレッシュだったり、揚げてあったり、ピクルスだったり。能登でとれた野菜、野草をたっぷりと。野草は近所でシェフ自らが採取。食べられるかどうかは実際口にして実験するそう。体を張ってます、シェフ。
鰆。熟成された鰆はねっとりと脂がのっています。このあたりでとれる鰆は本当に美味しいのですよ。
鯨。哺乳類だけあって、海のものだけど山のお肉を食べているよう。葉わさびのタプナードでさっぱりと。
フロマージュブラン。
ボネ 崎山いちご。
小菓子とハーブティをいただき、そして食後酒も楽しみつつ…ペアリングで飲んだワインはこんなに。
選んでいただいたソムリエ・塩士卓也さんからも「結構飲まれましたねー」といわれちゃいました。
オーベルジュなので朝食もつきます。
こだわりのパン屋、「月とピエロ」さんのもっちりとした食パンとともに。正直このメニューでもワインがいけそうでした(笑)
能登の里山里海の恵みに感謝の気持ちを抱き、豊かな自然を表現することが目指す料理の形とシェフ。
最初は地元の方との交流も一朝一夕ではいかなく、苦労もされたようですが、今は懐にはいることができて、いろいろと教えてもらっているんですよ、と笑って話してくださいました。
そんな平田シェフとマダム、ソムリエ、食材を提供してくださる地元の方々はじめ、オーベルジュにかかわるすべての方々の思いが詰まった空間と食。そして素晴らしい里山里海の恵みと風景。
能登の地だからこそ実現できる、また来たいと思わせる素敵なオーベルジュでした。