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もしも斎藤工のように生まれていたら

 読了本の感想を仲間とシェアするSNS「読書メーター」をがっつり利用している。そこでは「この小説を映画化するならキャストはどうするか」で盛り上がることがある。

 きのう読了したのが「ラブカは静かに弓を持つ」だ。著作権管理団体に勤務する主人公が上司の命令により音楽教室に“潜入調査”して演奏権侵害の証拠を得ようとする物語。先日最高裁判決があった事例をモデルにしていて、そこに主人公やチェロ講師などのキャラクターが交錯する。一気読みの面白さだった。来月発表になることしの本屋大賞にもノミネートされている。



 イケメンで内省的性格の主人公について、私は脳内で俳優の斎藤工を思い浮かべながら読んだ。一方の大きな役割を担う音楽講師は、ちょっとクセのある匂いからムロツヨシか。「読書メーター」に書き込んだところ、「ムロツヨシは変化球だ」「2人ともあと10歳若ければいい」などのやりとりになった。

 それにしても斎藤工。

 主演した「シン・ウルトラマン」が印象的だったほか、それを見事に換骨奪胎したヒノキヤグループのCMも傑作。なによりもそのイケメンぶりに、男の私もほれぼれさせられる。


うーむ、なんてカッコいいんだ、斎藤工。うっとりするぞ、斎藤工。

 「もしレベルをはるかに突き抜けた美男・美女に生まれついていたら、どんな人生になったのかな」と想像することがある。想定は斎藤工であり、女性なら滝川クリステルか。

 あんな風貌の人間が素のままで電車で隣に乗り合わせていたら、かなりギョッとする。目の端でチラチラと追いかけずにはいられないし、職場にいたらヘンなところに力が入ってしまう。やりにくいことこのうえなく、単純に「迷惑だ」とすら思う人も出てくるのではないか。

 本人にしても、いつもジロジロチラチラ見られてしまうことが快感であるようなキャラならばいい。しかしそれを鬱陶しいと思い始めたら、透明な牢獄に24時間監禁されているようなものではないか。

 やはり最近読了した「逆転美人」というミステリーはこれをモチーフにしている。「自分でいうのもおかしいが、私は美人であるために苦労した」という女性の手記がメイン。私が抱く懸念がほぼそのままエピソードになっていて興味深かった。ちなみに本作は、それだけではない驚愕のトリックが仕込まれていて、その鮮やかさは一読の価値がある。おすすめ。

 容姿にしても頭の良さにしても、なにごとも「ほどほど」が幸せなんだろうな。
(23/3/27)

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