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偉人あやかった命名

 先日、オフィスでつけっぱなしにしているテレビのニュースで「横山大観容疑者が…」という音声が流れてきて、同僚と顔を見合わせてしまった。

 この記事によると逮捕された容疑者は「自称彫刻家」なのだそうだ。うーむ、やっぱり芸術系に進んだのね。

 「酒に酔って殴った」という逮捕容疑は全国ネットのテレビや新聞に掲載されるほどの重罪にも見えないので、この名前のインパクトがニュースバリューを上げちゃっているのは確実。もし容疑者が「山田太郎」であれば、富山県以外のメディアに載ることもなかったであろう。この子が生まれた際に、親は期待を込めて命名したであろうだけに、まさかそれがこんな形で裏目に出るとは。

 それにしても産経新聞よ。「横山容疑者は、国内外で作品を発表している現代彫刻家とみられ、近代日本画の巨匠、横山大観とは別の人物」って、昭和初期に活躍したあの芸術家が21世紀の令和のいま犯罪を犯すわけもなかろうに。ま、読者に誤解を与えないためなのだろうが。

 そういえば数年前にも、下の名前が「真魚(まお)」という容疑者が逮捕されたニュースを見た。この例は名前のインパクトではなく、容疑者が別件で有名人だったためにニュースになったもの(そしていまでもネットで記事が出てくる)。

 しかし、分かる人にはわかる。「真魚」という名前は弘法大師空海の幼名である。親はそこにあやかったに違いないだろうと想像できるものだ。

 かつては「田中角栄」という名前の子どもがロッキード事件の際に学校でいじめられて改名が認められたという有名な事例もあった。

 親はさまざまな願いを子どもの命名に託すもの。白眼視されがちなキラキラネームだって、親にしてみればそこには“意味”があるのだろう。

 後年になってそれが裏切られてしまうことになる、、、親の気持ちを考えると、なんとも切ないものである。

 ちなみに私の下の名前は常用漢字ながら読みはいささか珍しいもので、そのバランスが優雅で気に入っている。会社でも親しい同僚からはそれで呼ばれるほか、初対面の方にもすぐに覚えてもらえる。そして、どこかで「犯罪を起こしてメディアに載ったらすぐに知人方面にバレちゃうなあ」と思っている。
(24/6/28)

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