
【詰将棋】「単語の登録」で検討を時短しよう
はじめに
今回は詰将棋の紹介ではなくて、普段自分が使っている検討用に登録した単語たちを紹介します。簡単に言うと「キーボードをタイプしていちいち変換してたら時間がいくらあっても足らんから、最初からアルファベット1、2文字とかで辞書登録しといたら時短できますでしょう?」っていうNOTEです。例えば次のような図があったとしましょう。

自分はメモ帳を使って次のように書いて検討しています。

検討に抜けがないようにするために次の基本ルールを設けています。
★マス目は左上から右下の順に並べます
★攻方は以遠打を含めて価値の高い駒の順にすべての王手を並べます
・角打の利きは左上、左下、右下、右上の方向の順に書きます(癖)
・以遠打は「以遠打扱い」として検討を省略する文言を書きます
★玉方は玉を逃げる手、合駒の順に応手を並べます
これらは検討量が膨大になるのが約束されている裸玉の完全性証明の記録として有用だと思います。それでは早速始めていきましょう。
0.棋譜用のマス目
盤のマス目は1文字目がアラビア数字、2文字目が漢数字です。いちいち区切って変換しているとタイムロスになりますので、2桁の数字を変換したら棋譜用のマス目(7六や5九など)がでるようにします。
<変換後:辞書登録>
1一:11 1二:12 1三:13 ・・・ 1九:19
2一:21 2二:22 2三:23 ・・・ 2九:29
・ ・
・ ・
・ ・
8一:81 8二:82 8三:83 ・・・ 8九:89
9一:91 9二:92 9三:93 ・・・ 9九:99
1.駒
駒の表記は全て左手でタイプできるようにしています。
<変換後:辞書登録>
玉:gg
飛:x 龍:r
角:c 馬:v
金:z/k
銀:g 成銀:sg
桂:q 成桂:sq
香:w 成香:sw
歩:f と:t
詰将棋検討をはじめた頃は右手で飛(h)、金(k)とタイプしていたんですが、右手でエンターキーを押す関係上、右手を行ったり来たりするのはかなりのストレスでした。そういう経緯がありまして、現在は左手のみで駒を打つようにしました。その時の名残で金(z/k)を併用しています。
2.単純な成/不成(駒+a/b)
駒の成/不成において、「〇なり」「〇ならず」とタイプ&変換してから要らない部分を削除するのはかなり面倒です。不成ならa、成ならbを駒の後ろにくっつけて変換します。
<変換後:辞書登録>
飛不成:xa 飛成:xb
角不成:ca 角成:cb
銀不成:ga 銀成:gb
桂不成:qa 桂成:qb
香不成:wa 香成:wb
歩不成:fa 歩成:fb
他に飛引成や角上成、銀右引不成など同じ駒で利きが被っている場合も考えられますので、こういった複雑な成/不成は後述(11項)しますね。
3.打(駒+d)
打はdを駒の後ろにくっつけて変換します。
<変換後:辞書登録>
飛打:xd
角打:cd
金打:zd/kd
銀打:gd
桂打:qd
香打:wd
4.左・右・上・引(駒+左右上下キー)
左・右・上・引は基本的にそれぞれ使っている左隣・右隣・上側・下側のキーを駒の後ろにくっつけて変換します。
<変換後:辞書登録>
龍左:re 龍右:rt 龍上:r4 龍引:rf
飛左:xz 飛右:xc 飛上:xs 飛引:xx
馬左:vc 馬右:vb 馬上:vf 馬引:vv
角左:cx 角右:cv 角上:cdd 角引:cc
金左:kj 金右:kl 金上:ki 金引:km
成銀左:sgf 成銀右:sgh 成銀上:sgt 成銀引:sgv
銀左:gf 銀右:gh 銀上:gt 銀引:gv
成桂左:sqq 成桂右:sqw 成桂上:sq1 成桂引:sqa
桂左:qq 桂右:qw
成香左:swq 成香右:swe 成香上:sw2 成香引:sws
と左:tr と右:ty と上:t5 と引:tg
★飛引・馬引・角引は(x)・(v)・(c)それぞれ下側にキーがないので(xx)・(vv)・(cc)と連打して使います。
★角上が(cdd)になっているのは角打(cd)と区別するために書いていますが(cd)で併用しても構わないでしょう。
★金(z)は左隣と下側にキーがないので(k)で代用します。
★桂(q)は左隣にキーがないので桂左は(qq)と連打して使います。
( 'ω' ).。oO( 今思えば桂・香にした方が左右の区別が楽だったかも
5.直(駒+s)
直は駒の後ろにsをくっつけて変換します。
<変換後:辞書登録>
(龍直:rs)
(馬直:vs)
金直:zs/ks
銀直:gs
成銀直:sgs
成桂直:sqs
成香直:swss
と直:ts
★成香直が(swss)になっているのは成香引(sws)と区別するために書いていますが(sws)で併用しても構わないでしょう。
ちなみに、日本将棋連盟が「龍直と馬直は使わないで書きましょうね」と記載していたことを自分は初めて知りました。今後、手順を書くときは気を付けようと思います。
6.寄(駒+y)
寄は駒の後ろにyをくっつけて変換します。
<変換後:辞書登録>
龍寄:ry
馬寄:vy
金寄:zy/ky
成銀寄:sgy
成桂寄:sqy
成香寄:swy
と寄:tyy
★と寄が(tyy)になっているのはと右(ty)と区別するために書いていますが(ty)で併用しても構わないでしょう。
7.成/不成非限定(駒3連打)
成/不成非限定表記は各駒を3連打して変換します。これは玉方の応手の際に使っています。
<変換後:辞書登録>
飛成/不成:xxx
角成/不成:ccc
銀成/不成:ggg
桂成/不成:qqq
香成/不成:www
歩成/不成:fff
8.単純な「同〇」(d+駒)
駒を取る同〇の表記は、駒の前にdをくっつけて変換します。
<変換後:辞書登録>
同玉 :dgg
同龍 :dr
同飛 :dx
同飛成 :dxb
同飛不成:dxa
同馬 :dv
同角 :dc
同角成 :dcb
同角不成:dca
同金 :dz/dk
同成銀 :dsg
同銀 :dg
同銀成 :dgb
同銀不成:dga
同成桂 :dsq
同桂 :dq
同桂成 :dqb
同桂不成:dqa
同成香 :dsw
同香 :dw
同香成 :dwb
同香不成:dwa
同と :dt
同歩 :df
同歩成 :dfb
同歩不成:dfa
9.単純な「ー同〇で不詰」(d+駒+d)
玉方応手の検討で「ー同〇で不詰」は大量に書きます。こういう時は、8項で述べた(d+駒)の後ろにdをくっつけて変換します。
<変換後:辞書登録>
ー同玉で不詰 :e (最頻出なのでe単体を贅沢に割り当てました)
ー同龍で不詰 :drd
ー同飛で不詰 :dxd
ー同飛成で不詰 :dxbd
ー同飛不成で不詰:dxad
ー同馬で不詰 :dvd
ー同角で不詰 :dcd
ー同角成で不詰 :dcbd
ー同角不成で不詰:dcad
ー同金で不詰 :dzd/dkd
ー同成銀で不詰 :dsgd
ー同銀で不詰 :dgd
ー同銀成で不詰 :dgbd
ー同銀不成で不詰:dgad
ー同成桂で不詰 :dsqd
ー同桂で不詰 :dqd
ー同桂成で不詰 :dqbd
ー同桂不成で不詰:dqad
ー同成香で不詰 :dswd
ー同香で不詰 :dwd
ー同香成で不詰 :dwbd
ー同香不成で不詰:dwad
ー同とで不詰 :dtd
ー同歩で不詰 :dfd
ー同歩成で不詰 :dfbd
ー同歩不成で不詰:dfad
10.玉が逃げて不詰になる場合(マス目+2文字目)
玉方の応手として玉がいずれかのマス目に逃げて不詰になる例が大量にあります。この場合はマス目の2文字目を連打して変換します。
<変換後:辞書登録>
ー11玉で不詰:111 ー21玉で不詰:211 ・・・
ー12玉で不詰:122 ー22玉で不詰:222 ・・・
ー13玉で不詰:133 ー23玉で不詰:233 ・・・
ー14玉で不詰:144 ー24玉で不詰:244 ・・・
ー15玉で不詰:155 ー25玉で不詰:255 ・・・
ー16玉で不詰:166 ー26玉で不詰:266 ・・・
ー17玉で不詰:177 ー27玉で不詰:277 ・・・
ー18玉で不詰:188 ー28玉で不詰:288 ・・・
ー19玉で不詰:199 ー29玉で不詰:299 ・・・
11.複雑な成/不成(駒+左右上下キー+a/b)
2項の単純な成/不成では表現できなかったものです。飛寄成/不成以外は左手でタイプすることができると思います。
<変換後:辞書登録>
飛左不成:xza 飛左成:xzb
飛右不成:xca 飛右成:xcb
飛上不成:xsa 飛上成:xsb
飛引不成:xxa 飛引成:xxb
飛寄不成:xya 飛寄成:xyb
角左不成:cxa 角左成:cxb
角右不成:cva 角右成:cvb
角上不成:cdda 角上成:cddb
角引不成:cca 角引成:ccb
銀左不成:gfa 銀左成:gfb
銀右不成:gha 銀右成:ghb
銀上不成:gta 銀上成:gtb
銀直不成:gsa 銀直成:gsb
銀引不成:gva 銀引成:gvb
銀左上不成:gfra 銀左上成:gfrb
銀左引不成:gfva 銀左引成:gfvb
銀右上不成:ghya 銀右上成:ghyb
銀右引不成:ghba 銀右引成:ghbb
桂左不成:qqa 桂左成:qqb
桂右不成:qwa 桂右成:qwb
余力があれば、これらの前にdをくっつけて「同〇」を、前後にdをくっつけて「ー同〇で不詰」を登録しておくと更にスピードアップが図れるでしょう。
( 'ω' ).。oO( そんな頻出するもんでもないから余力があれば登録しようね
12.打つ合駒(a+駒、a+駒+d)
玉方が合駒を打つ場合、駒の種類によらなければ「合」一文字を使えばいいです。種類によって詰み手順を変える必要がある場合には駒の前にaをくっつけて変換します。自分は打つ合駒には( )をつけ、移動合には( )をつけないことで棋譜の読み・書き間違いを防ぐようにしています。
<変換後:辞書登録>
(飛):ax (飛打):axd
(角):ac (角打):acd
(金):az/ak (金打):azd/akd
(銀):ag (銀打):agd
(桂):aq (桂打):aqd
(香):aw (香打):awd
(歩):af 合:a
飽くまで、この表現は玉方(早詰検討)のどんな合駒も早詰になることを証明するために使用します。詰方(不詰検討)の王手を受ける合駒は詰まなければ種類を問わないので( )はつけません。
13.その他汎用性が高そうな表記
その他汎用性が高そうな表記を書いておきます。
<変換後:辞書登録>
で不詰 :d
まで早詰(@@手) :m@@ (@@には手数を記入)
まで最終手余詰(手) :ms
まで同手数駒余り(手):md
まで変同(手) :mh
手目と同一局面不正解 :td (作意中、同じ図が現れた際に使用)
変同 :hd
余詰 :yd
変長 :hc
▲/△ :s
(成/不成非限定) :na
;無駄合 :; (早詰の手数の後ろに必要なら記載)
以遠打 :ie
ー〇 :¥ (作意手を表す記号)
ー◎ :^ (作意最終手を表す記号)
早詰の手数@@についての補足をしておきます。例えば、変化手順が15手で詰み、これが作意よりも短手数ならば「m15」を変換すれば「まで早詰(15手)」と出るようにしています。ちなみに自分は「m3」~「m63」まで登録しています。まぁ40手を超えるような作品はほとんど出合うことがありませんから、39手まで用意しとけば大体事足りるでしょう。
おわりに
詰将棋の検討のために、あらかじめ自分の思う通りに変換してくれる単語を辞書登録しておくと劇的に時短できます。最初は時間が余計にかかってイライラするでしょうが、スマホの使い方と同じように慣れれば手が勝手に動くようになります。もちろんこのNOTEに紹介した通りじゃなくても全然構いません。自分の好きな設定をして検討を時短していきましょう。
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