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パリーグ3連覇オリックスと阪神に共通する「普通にやる野球」

追ってくる2位のチームを千切り捨てる強さ

2023年9月20日、オリックスは2位ロッテに逆転勝利してパリーグ3連覇を達成しました。オリックスと同様、関西に拠点を置く阪神が14日に優勝を決めていたため、59年ぶりに関西2球団が同年優勝したことになります。9月20日現在、オリックスと阪神は2位に10ゲーム差以上をつけるほど、圧倒的な強さを誇っています。両者の野球には共通点があるのでその詳細を見ていきましょう。

守備が強いチームがよく優勝する理由

オリックスと阪神は共にチーム防御率が2.6点台、リーグ唯一の失点300点台と失点が少ないチームです。その要因は防御率の良い先発・中継ぎ・抑え投手と安定した捕手の存在、そして内外野手の堅い守備によるものです。日本プロ野球で守備主体のチームがほぼ毎年のように優勝する理由は次のように考えられます。

守備(失点)は強化すればするだけ最少値に自力で制御できるコントローラブルのに対して、攻撃(得点)は好不調の波と相手投手との兼ね合いがあって自力では制御不能アンコントローラブルだからです。攻撃側をいくら強化しても得点力アップにつながるかは不確かなので、それなら守備を強化して無駄な失点を減らした方が勝率が高くなるはずだ、と言えるわけです。筆者はこのことを阪神の岡田監督が言う「普通にやる野球」だと勝手に解釈しています。

日本人の不安遺伝子に合う「普通にやる野球」

セロトニントランスポーターSERT遺伝子」は不安感を抑える遺伝子です。日本人はこのSERTの数が少なく、統計的に7割近くの人が物事を(楽観視せず)不安視する傾向があります。野球における具体的な不安と言えば、攻撃では見逃し三振や犠打失敗、走塁(盗塁)死、併殺打などがあり、守備では与四球やエラーによる出塁・進塁、失点が挙げられます。多くの日本人はこれらを心のどこかで不安視していて、現実に起こればもったいなさを感じますし、相手に流れを手放したように受け取るはずです。

しかしながら、いくら不安だからと言ってすべての要素を無くすことはできません。先述した守備主体の「普通にやる野球」の方針を貫くとすれば、自力で制御不能な攻撃面はある程度は割り切って受け入れる代わりに、自力で制御可能な守備面は不安要素を極力取り除いていく方が筋が通ります。つまり、最少失点に抑えて守り勝つ野球が日本人に適したスタイルだと考えられるわけです。2023年にオリックスと阪神が優勝した理由の一つは、この「普通にやる野球」に徹したからではないでしょうか。

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はる筆線屋
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