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【感想】「サマータイムレンダ」のアニメ見たから感想書くよ

今回は人気アニメランキングで第486位(2023/03/16現在)とかなり上位にランクインしている「サマータイムレンダ」です。1回通しで見ただけの初見が以下に感想を殴り書きします(筆者は原作未読勢なので見落としてる部分が結構あるかも)。ネタバレを含みますので、未視聴の方はここでブラウザバックした方が良いと思います。それでは、行きましょう。

0.前提

前提として「STEINS;GATE」無印とゼロは序盤の冗長に心が折られ、また2015年夏アニメ「Charlotte」は駆け足で話を畳んでしまったことをもったいなく感じていました。本作はこれら二作と同様、時間遡行ネタを取り入れている全25話の作品です。全編を通して冗長も駆け足もないすっきりとした仕上がりを期待しての視聴でした。

1.序盤が最高潮すぎる

序盤はかなり好印象でした。全25話のうち序盤10話くらいまでは世界観の情報不足と美麗な作画のおかげですっと没入できました。話が少し進んででてきた影のアイデアは昔読んだ「ドラえもん」のかげがり(影切りばさみ)をよりスパイシーにした感じでとても良かったと思います。ディテール描写も圧巻です。息をのむほど美しい夏の島の景色が広がる一方、そこかしこに死の臭いが漂う恐ろしさが共存する空気感が素晴らしいです。

( 'ω' ).。oO( この空気感「メイドインアビス」っぽいですよね

100点満点で点数をつけるとするなら、序盤95点→中盤90点→終盤80点くらいでしょうか。終盤に行くほど興奮度合が冷めていった理由は2つあります。1つ目は、身近にいる誰が影になっているかもしれない恐怖と緊迫感の演出が途中からほとんど影を潜めてしまったからです。これはストーリーの展開上、個からグループの戦いへシフトしていった副産物とでもいいましょうか…… 結果的に日常の中に潜む死から距離が遠ざかってしまい、不要な安心感が増した気がしました。

2.シデ様の悪役としての魅力を上げてほしい

興奮度合が冷めていった理由の2つ目は、終盤まで明かされぬまま引っ張っていた影(最終的にはシデ)の本当の目的が自己中心的で陳腐なものだったからです。作中では、シデの行動によって余りにも大きな被害と犠牲者がでてしまいました。それでも、この世界にとって1ミリでも良い影響を与えているのなら仕方がないと割り切れて、魅力的な悪役に描くこともできたでしょう。

視聴開始時、心のどこかで自分は到底許せないけども行動原理となる理屈は理解できなくもない、どこか憎み切れない悪役の登場を期待していました。だからこそ、悪役としてのシデのキャラの掘り下げの甘さには少し不満を覚えました。これは飽くまで自分の願望で、原作がそうならばそういうものだと受け取らざるを得ないところではあります。

さはさりながら、言葉遣いが丁寧な胸糞悪いだけの悪役をぶっ倒して物語を畳んだことは個人的に終盤での減点につながりました。なろう系でありがちな主人公のお株をあげるためだけに登場し、ひたすら悪い言動をさせた挙げ句瞬殺するキャラの使い捨てを感じたからです。キャラの厚みを増すためにシデに何らかの上澄み要素を付け足せば、作品を見終えた後に心に残るような良い悪役になったんじゃないかなと思いました。

3.緊迫感のある場面でわざとエロを混ぜ込む演出手法

序盤は張り詰めたシーンの連続なので、ツカみと空気の弛緩を兼ね備えた何かが必要だったのでしょう。ふと思い出したのが岡田斗司夫ゼミでふれられていた「天空の城ラピュタ」で使われている巧妙なエロ表現の手口です。

自分の理解で言うと、不穏な空気やサスペンスフルなシーンの中に混ぜ込まれたエロは、よりハラハラドキドキさせる方へと視聴者心理を誘導する効果をもたらします。制作側の立場からすると「ここは嵐の前の静けさの雰囲気を出しているのに、もしくは実際嵐が来て命が危ない緊迫感のある場面なのに、そんな時にエロの部分に目を取られとるお前が悪いんやぞ?」と、ゲスい見方をする視聴者に対してあらかじめ予防線を張ってあるとも言えます。

一部の深夜アニメのように、安直にエロをエロとして描かないのが「サマータイムレンダ」の魅力の一つだろうと思います。序盤はそういう風に受け取れるカットやカメラアングルが度々でてきて「スタッフ、気合い入っとんなぁ」と思いました。本当にこの狙いを意図しているのかは分かりませんけれども、それらの演出は自分が作品へ没入していくのに一役立ちました。ちなみに、第一話冒頭のアレは視聴者を食いつかせるための撒き餌なのでその例外だと思います。

( ˘ω˘ ;; ).。oO( 感想を殴り書きしてたのに、いつのまにか作品の構造分析の
まねごとをしてませんかねぇ……

4.網代慎平、声が竈門炭治郎すぎるのが難点

この点は感想というよりも自分の耳の問題で、全編通してマイナス5点としました。主人公・網代慎平が「鬼滅の刃」の竈門炭治郎と同じ演者さんだったので、ときおり自分の頭の中にいる炭治郎が喋っているようにしか聞こえず、気を抜くとすぐに現実に引き戻されました。さすがに似すぎなので、炭治郎から少し声色をズラしてくれれば気にならなかったと思います。

5.舞台設定に忠実な和歌山の方言

関西弁ネイティブの自分からすると、和歌山の言葉はイントネーションにほんの少し(気にならない程度の)違和感がありました。「和歌山ってこんなイントネーション変わるもんなんかなぁ?」と思いながら視聴していました。正確かどうかは和歌山の人に聞いてみなければ分かりませんけれども、キャラづけのためのエセ関西弁もどきでなかったことは舞台設定を忠実に守っている意思が感じられてとても好印象でした。

6.ラストを飾るアイデアに既視感あり

小説家・南方竜之介の次回作をアレとしてラストを飾るアイデアにはニヤリとしました。自分のお気に入り小説、真保裕一氏の「奪取」を思い起こさせたからです。なので、驚きはしなかったですけれど「創作者なら一度はこのラストを描きたいんやろなぁ」と思いました。

【短評】時間があるなら視聴すべき良作

序盤の中身に関しては文句の付け所がありませんでした。しかし、中盤からラストにかけてのストーリー展開で徐々に緊張感が損なわれ、悪役に対する不満が噴出して興奮が引いていく感じでした。それでも、トータルすれば集中力が切れやすい自分をラストまで一気見させた手腕はお見事の一言です。時間があるなら間違いなく視聴すべき良作ですよ(神作となるには後半の作り込みが必要でしょう)。

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