暑いっていうレベルじゃねぇぞ!!
少し身の上話をしましょう。筆者は習字を習った経験もなければ、書道を志したこともありません。また、既存の書体(楷書体や行書体など)を上手く書きたいと思ったこともありません。素人の自分より上手い文字を書ける方がたくさんいることもありますが、ただ単に上手い文字を書くこと自体に創造性を感じなかったのです。筆者が注目したのは文字ではなくそれとは別の部分です。タイトル画像「暑」にあるように、筆の作りだす偶然的にできるカスレや線幅を自由に変えられるという特徴を持っている「筆線」に何かしら息吹のようなものを感じました。
もともと、筆を執った理由は「日本酒のラベルに書かれているような粋な筆文字を書きたい」と思ったことでしたが、本格的に筆線にこだわるようになったのは上に示したセンさんという方の作品に内包されているカスレの何とも言えないキレイさに魅せられたことが大きいです(キレイと感じるかどうかは見る人によって変わるでしょうが、筆者はキレイだと思います)。
ネット社会化からAI化へとパラダイムシフトが進んでいる現代ですが、1ストロークの筆線、特にカスレのような偶然にできるものを含んだ筆線に関しては、さしものAIであろうと手動で完全に再現することは不可能と考えられるため、筆者はその独自性に価値を感じています。
そのような考えから、筆線の息吹と言うべきものを自分なりに表現したいと思いたって約5年(適当に書いていた時期を含めればトータル7年)、最近になってようやく自分のフォームみたいなものが見えてきました。端から見れば、下手の横好きにしか見えませんが、そんなことはどうだっていいのです。なぜなら自分がやっているのは正統なる書道ではなく、自分がキレイだと感じる筆線を描く道だからです(個人的には「描線道」と呼んでいます)。
筆者が筆で書いているのは何も日本語だけに限りません。英語、ロシア語(キリル文字)、モンゴル語、スリランカ語など色々な言語を表現することに挑戦しています。一度、ロシア語の作品をネット上にアップしたところ、ネイティブの方から「自分の名前を書いてみて!」とリクエストされました。ロシア語の全く分からない筆者ですが、書くと喜んで頂けて、時間と距離を縮めるネットの凄さと、筆文字文化圏外の人に筆線の魅力が伝えられたという喜びを感じました(下図がそれで、「София(ソフィヤ)」と読むっぽいです。書き方が正しいかは知りませんけれども)。
描線道の他には、西洋書道(カリグラフィー)の表現にも挑戦しています(下図)。試し書きした「kurumi」はカッパープレート体と呼ばれる書体ですが、初心者なのでとりあえず既存書体を見よう見まねでやってみよう(カリグラフィーで日本語を書けるようになるのはもう少し後になりそう)という段階です。印象としては、カリグラフィーペンは筆と違って偶然のカスレが起こりにくく、また線幅のレンジが少ないために表現の相性としては良くないかもしれないな、と感じています。
さて、身の上話はここらで置いておきましょう。今回は筆線に感情を乗せることをテーマにして筆文字を書きました。昼間は日陰でも40℃近くに達し、夜になっても32℃を下回らないという殺人的な猛暑が続いています。まるでインフルエンザにでも罹ったかのような生活と言っても過言ではないでしょう。そんな最近の尋常ではない暑さに対してやり場のない怒りが個人的に爆発したので「暑いっていうレベルじゃねぇぞ!!」と書き、それをTシャツ化しました。
実際に上記のサイトで購入することができます。Tシャツトリニティは選択できるTシャツのタイプや生地の色が豊富なのでかなりオススメです。自分が着る用のネタTシャツが欲しいと思って作ったものですが、色んな方にシェアできれば嬉しく思います。今後は言語やペンツール関係なく色々な表現で遊ぶことができればいいなと思ってますね。
( 'ω' ; ).。oO(はてさて、この猛暑っていつまで続くんでしょうか・・・