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【詩】芸術(?)


退廃は芸術にならないとしたら
この世に芸術は皆無であると
言った人もまた
命尽きて
もうこの世にいないということ

15XX年
青年が駆け込んだとある北イタリアの教会は
彼に救いとなっただろうか


人間が成し遂げられることの眩しさの中に
神秘というものがあるのだとしたら
それは失礼な考えだよと
古本屋の店主が言っていた


理解できるということと
成し遂げられるということは
別であって
君が理解できなくても
できてしまうこともあるのだと
それは自信になるだろうか?


17XX年
革命の匂いのするパリで
万年筆を折って怒った青年は
人への愛をわかっていなかった


直線的な美を前にして
揺れ動く心は
波の形をしているだろうか


彫刻が人格を持たなくてよかったと
心の底から思っている


救われるとは恒久的かつ絶対的な状態に至ることではなく
刹那的な相対的な状態に過ぎないのだと
述べること自体が
憚られるこの教室では
君が思い描く未来は
狭い小箱に描かれた庭の絵くらい
窮屈なもので


失うものはないです
もともと持っていないので
愛だけがすべてだということは
無であるということです


明日が怖いということは
君が幸せになれるということです

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