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【詩】水面

波がゆれては消えて
青を探して目を凝らしても
白と光の粒と紺

船と一緒に体内の水が揺れて
おかえりの声が聞こえた気がした

むき出しの配管から水が噴き出す
暗い地下道の中で虹は見えず
内臓のふるえがただ止まらなかった

あたたかさには水分が多く
水が張ったつめたさは贅沢
愛は全部水っぽい
すべて
すべて濡れているように

ざらざらとした表面をなでると
手を洗いたくなって
ポンプで水を汲んだ
青銅色の古いポンプ

重なった隙間から水が滴っていた
雨が降っている
ぼくらの時代はもう終わったみたいで

あの子にリボンを結んであげたその指で
触れないでほしかったらしい

なにも聞こえないふりをして眠るよ、
今日は嘘の1日。

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