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【詩】裸足

指先が
空の天井に届く夢を見た

僕は自室のベッドにいたらしいけど
同時に確かにニューヨークの空にいて
銃弾がゆっくりと僕に向かってくるのを見た

寒さではなく
つめたさだけを感じていた
呼吸は苦しかったはずだけど
神経がつながっていなかったから
僕は踊り続けた
肺が硬くなって心臓が膨らんで
きっともう二度度戻らない傷をのこした

授賞式は明日です
君のもとには届いていないだろう招待状
ポストは壊れてそのまま


夢を見ていた

藍が空から漏れていて
正気に戻った時には足はもう血だらけで
踊り続けられるのは才能のある人だけだと
そんなことを直接言われて
なんの意味があっただろう

悪意と善意のエネルギーが等しければどちらが勝つと思う?っていきなり聞いてきたあの子は遠い国に引っ越していった
今頃何をしているのか
検討もつかないが
頑張るのに疲れたらしいね
頑張っているようには見えなかったけれど
それが悪意か善意か判断することなんて
誰かができるんだろうか?

テナントのいなくなったビルの廊下で踊り続けた
人間の脳は重い
誘導灯が霞んでくるまで踊っていた
誰かが僕に気づくまで


夢を見ていた


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