鮭に教わる命の尊さ
バンクーバーの気候
自然が好きな私は、大好きなカナダで大自然を満喫しています。
バンクーバーの気候は2つに分かれます。
晴れか雨です。
5月くらいから9月くらいは、天気が良くて大体20度前後、暑い時でも30度以下、湿気もなく、晴天が続き、「天国か」と思うほど、快適で過ごしやすいです。
この期間は、ハイキング、バーベキュー、カヤックを楽しんでいます。
10月くらいから4月くらいにかけて、毎日のように雨が降ります。
この期間は、スノーボードを楽しんでます。
新しい趣味
夏のアクティビティも出来なくなる頃から、ウィンタースポーツが始まるまでの間、どんよりする気候を、鬱にならないように過ごしてました。
ご存知の方もいると思いますが、カナダといえば、サーモンの遡上が有名です。
シーズンは9月から11月です。
スノボシーズンまでの完璧すぎる暇つぶしができました。
私は、サーモンフィッシングを4年くらいやっています。
カナダ政府は自然に優しい
日本でも釣り制限があると思いますが(もしご存知の人がいたら教えて頂きたいです)、カナダでサーモンフィッシングするには、漁業を守る以外にも規則があります。
まず、ライセンスの購入(年間約4,400円)が求められます。
釣り上げ持ち帰りには、別途年間約1,800円の支払いが求められます。
サーモンには、キングサーモン(マスノスケ)、コーホー(銀ジャケ)、チャム(白ジャケ)、ピンクサーモン(樺太マス)、サッカイサーモン(紅ジャケ)、スティールヘッド(ニジマスの降海型)がいます。
その中でも一般的に釣り上げが許されているのが、キングサーモンとコーホーサーモンです。
それでも、釣り上げ数には川によって制限があり、コーホーサーモンに関しては人工孵化魚に限ります。天然魚との見分け方は簡単です。人工孵化魚は放流前に油ビレという尾ビレのすぐ近くにある小さなヒレが切られています。
稀にチャムサーモンも釣り上げ可能になりますが、毎年の遡上数によって決まります。
また、釣り針に返しがついたまま使用してレンジャーに見つかると罰金です。
サーモンがかかって、糸が切れたり、釣り針ごと持っていかれたりすることがありますが、逃げ切ったサーモンの体についた釣り針が、泳いでいる間にいずれ取れることを意図して、返しを潰すことが義務づけられています。
生態系を守る、魚に敬意を払う、素敵な規則です。
命を奪う
年間で10回以上川へ向かいますが、初めの2年間は、全く釣れませんでした。
3年目にしてやっと釣れた最初のキングサーモンを締める時、物凄い重圧を感じました。
サーモンの寿命は約5年です。
過酷なサバイバルを生き抜き、故郷に戻ります。
浅瀬や激流を超え、ボロボロになるサーモンもたくさんいます。
命懸けで生き抜いたサーモンの命を自らの手で奪うことに仕事でも感じたことのない責任を感じました。
締める時は脳みそを目掛けてナイフを入れる、もしくは、頭部を石で叩きます。
今年で4年目、釣り人としての腕も上がり、釣り上げたサーモンの数は、30匹ほど。
いまだに慣れません。
「ごめんね、ありがとう。大切に頂きます」
締める前に必ず声掛けするようにしています。
慣れすぎれ言っていなかった「いただきます」も、彼らのおかげで言うようになりました。
食を取れることを当たり前に思ってはいけませんね。
必死に生きる
10月末にもなると、ボロボロに傷ついたサーモンを見かけます。
産卵も、命を繋ぐ使命も終えたサーモンは、皮膚が腐り変色し、中には真っ直ぐ泳ぐこともできずただただ流され、命が途絶える寸前の瞬間に出くわします。
いつも涙が出そうになります。
「頑張ったね。お疲れ様」
と、必ず声をかけてしまいます。
大きく育つ前に、命を繋ぐ使命を全うする前に、命を落としてきたサーモンが数え切れないくらいいることでしょう。
生き抜いても、産卵を終えれば落とす命。。。
彼らからは、本物の“一生懸命”を感じます。
教科書や本では教えることが不可能な“命の尊さ”をサーモンの生涯と向き合い学びます。
また、我々が日々の生活で向き合ってる問題や悩みがちっぽけなものだとも思わせられます。
新しい趣味がここまで人生に影響を与えることになるとは思いもしませんでした。
いつも本当にありがとう。
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