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短歌 冬の湯呑 5首

 妻のいぬ 土曜の午後の初しぐれ。くすぐってみる三毛の脇腹

 薄日さす  海に沿ひたる城下町。知る人のひとつ 冬に入る

 ほのわびしとはこのことか。冬の湯呑の牛乳ミルクの皮膜

 窓の外 木枯がいう。別れよと。漱石みたいねマスターの髭

 すべてはなにもなかったごとくに冬紅葉 散るも散らぬも


           初冬の無聊からやや恋への展開

● 4首目は、喫茶店での淡々あわあわとした男女の逢い引き。
 上の句は男の内面。下の句はその男の気持ちを正面から受けたくない女の
 セリフ。

○ これまでつくった、連句や俳句、詩などともいろいろつながったり、アレ
 ンジしたりしてるのもあります。
  自分のなかにあるものを、手を変え品を変え再生産していく、まあ表現
 のリサイクル業者と思って、ご容赦ください。

○ この5首の流れと内容は、根雨良光さんの「バブルが弾けた頃にブーム
 となるも泡と消えたポケベル…に感じる諸行無常」
に少なからず触発され
 ました。とくに、引用添付されていた読売新聞の記事、緒形拳と裕木奈江
 ちゃんの年の差恋愛ドラマの記事。合わせて読んでいただけると、いっそ
 う切ない冬を迎えられると思います。


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