カタチのデザインツール?触覚と陰影を研究する独自ツールのご紹介!
こんにちは!
博報堂プロダクツの内田成威です。( MDビジネス事業本部/プロダクトデザインチーム所属)プロダクトデザインチームは、クライアント商品の企画やカタチのデザインなどを手掛けるプロダクトデザイナー集団です。
今回は、プロダクトデザインチームが独自に開発している「カタチのデザインツール」をご紹介します!
カタチに触れるおもしろさと陰影の美しさ
プロダクトデザインチームはデジタルスキルを駆使しながらも、人間が持つフィジカルな感覚やフィーリングを大切にしています。プロダクトデザインにはさまざまな要素がありますが、今回ご紹介するのは「カタチ」に特化したデザインツールになります。
開発しているのは、ものづくりに欠かせない「造形の手ざわりや陰影の美しさを解像度高く研究するためのツール」です。色や素材の見本は世の中にいろいろありますが、私たちが望むようなカタチのデザインツールやサンプルがなかったので「研究も兼ねて作ってみよう!」という思いで開発をスタートさせました。
円柱と板形状のフォーマットで展開
ツールは円柱と板形状の2種をベースのフォーマットとして、さまざまなバリエーションを展開しています。円柱と板形状があると曲面と平面の違いを検証できたり、円柱は手に持った感覚も確認できたりします。ツールの制作プロセスは、スケッチや参考画像などで形状のアイデアを考え、形状を3Dモデリングでデータ化、3Dプリンターで出力するといったステップで制作しています。
現在のバリエーションは100パターン!
現在は、円柱と板形状を合わせると約100パターンのバリエーションがあります。コツコツとチームのみんなで計画的に作ってきました。形状のテーマは自由で、幾何学な形、自由形状、自然、和柄などさまざまな種類があります。
実際に作ってみるといろんな発見がありました
おもしろいのが見た目の印象と触ったときの感覚のギャップです。例えば見た目がトゲトゲした形状は一見痛そうな印象を抱きますが、触ると心地よかったり、流線形は握ると手に馴染んだり、実際に形にして触れることで思いがけない発見がたくさんありました。また、陰影の出方もわかりやすいのでデザインを深めていく時に重宝します。
言葉で表現するのが難しい「感覚」を共有するツールとして
このツールは企画や発想時はもちろんのこと、クライアントへのデザイン提案時にも活用しています。飲料ボトルや化粧品容器関係のデザイン初期の提案時に、ツールを活用しながら提案することで、コンセプトやデザイン画に加え感覚まで含めて提案することができます。
さまざまなアイテムにアイデアがひろがる
デザインにはコンセプトやインサイトを軸にして色やカタチにしていく流れもありますが、カタチや感覚から生まれるデザインもあります。カタチのデザインツールは、さまざまなデザイン展開の可能性を秘めています。
ツールを応用してペットボトルやグラスのデザインを作ってみました。持ちやすくて見た目も美しいデザインになりました。ペットボトルは、水の流れや上品さを感じる造形、グラスは繊細さや和を感じる造形になりました。
こちらは、もっと触覚に振り切った「手ざわりで楽しむパズル」を作ってみました。パズルとしても遊べるし、手ざわりでパーツの違いがわかるので、視覚障がい者の方にも使っていただける可能性もあります。陰影の美しさもあり、インテリアオブジェのようにも使えるパズルになりました。
まとめ
デザインツールのご紹介は以上になります。カタチを深掘りしていくと新しい発見があり、この世界はとてもおもしろいです。そして、触覚というリアルでプリミティブな感覚の世界を、温度や硬さなどいろんな切り口で研究をさらに深めていきたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました!
制作者プロフィール
内田成威(うちだ・しげたけ)
MDビジネス事業本部 プロダクトデザインチーム
クリエイティブディレクター / プロダクトデザイナー
クライアント商品の企画・開発やカタチのデザイン、キャンペーングッズなど幅広いプロダクトデザインを手掛けるクリエイティブディレクター。色覚特性の目を持ち、自身の見え方や感性を通じ、色覚多様性やインクルーシブデザインをテーマにした作品制作も手掛けている。
橋本千里(はしもと・ちさと)
MDビジネス事業本部 プロダクトデザインチーム
チームリーダー / プロダクトデザイナー
2011年博報堂プロダクツ入社。化粧品や文房具といった日用品からキャラクターコンテンツを用いた生活雑貨まで、幅広い商品企画・デザインを手掛けるプロダクトデザイナー。新しい仕事の開拓や戦略に合わせたスタッフィング、チームワークを活かしたワークスタイルが得意。
南山直人(みなみやま・なおと)
MDビジネス事業本部 プロダクトデザインチーム
プロダクトデザイナー
2011年博報堂プロダクツ入社。主に飲料や食品のキャンペーンでIPコラボのデザインを幅広く担当。 3Dモデリングソフト・3Dプリンタなどを駆使してモノ作りに関わる。現在、生成AIを活用したプロダクトデザインも研究中。
松本早紀子(まつもと・さきこ)
MDビジネス事業本部 プロダクトデザインチーム
プロダクトデザイナー
2014年博報堂プロダクツ入社。企業のキャンペーングッズから商品パッケージ、容器形状デザインまで幅広いデザインを担当。和のテイストを組み合わせたグラフィックや立体デザインを得意とする。
website:プロダクトデザインチームのアトリエ