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美顔の仏像と素朴な仏像……どっちが好み? @東京国立博物館

今日から東京国立博物館(トーハク)では、『建立900年 特別展「中尊寺金色堂」』がはじまりました。さっそく見に行ってきたのですが……これはね……見に行かないと後悔しますよ……というレベルにおすすめです。今回の機会を逃すと、金色堂の本尊ほか11躯を、あんなに間近で見られることは、今後生きている間は、絶対にありません……絶対にです。中尊寺金色堂へ行っても見られない距離で見られるのですから。また、全11躯が360度から見られるようになっているという……ありがたいやら、申し訳ないやら……誰にともなく「失礼しまぁ〜すぅ……」と言いながら1躯ずつ前から横から後ろからと見させていたきました。

という希少性もそうとうなものなのですが、それ以上に、神々しかったです。仏教徒ではなくても、おもわず手を合わせてしまいそうになるというか、何を願うということもなく「お願いします」と頭を下げたくなるというか……。

現在、東京ステーションギャラリーで開催されている、北東北の愛らしい民間仏が見られる展覧会『みちのく いとしい仏たち』とは、真逆の仏さんたちで……「仏さん」とか呼んだら怒られそうですけど……こういう正統派の仏さんたちも悪くないなぁと思いました。

2月12日(月)までの、東京ステーションギャラリーの『みちのく いとしい仏たち』もおすすめです。こちらも、監修者の方が「自分が生きている間には、2度と開催できないだろうし、自分が死んだらもう開催するのは無理でしょうね」みたいなことをおっしゃっていました。とても良いです。

とまぁ話が脱線してしまいましたが、今回は「トーハクの総合文化展(平常展)にも、すごく神々しい仏さんが居たよ!」というお話です。お話……と言っても、解説できることが少ないので、ほとんど写真での紹介です。

14世紀の南北朝時代の作という《千手観音菩薩坐像》です。すごい造形だなぁと感心しつつ「こんな千手観音がトーハクにあるんだなぁ」と思いました。とっても美しい顔立ちです。

《千手観音菩薩坐像 C-306》

調べてみたら、過去には2022年の2月から5月上旬までの比較的に長い期間に展示されていたので、わたしも絶対に見ていたはずなんですけどねw その時には、メインステージに、四天王を引き連れて展示されていたそうなので、じっくりと見られなかったのかもしれません(メインステージは、観覧者からちょっと距離があって、見えづらいんですよね)。

合掌する2本の手と脇手40本の計42本の手があります。千手観音としては、スタンダードな本数です。昨年開催された『京都・南 山城の仏像』展では、本当に千本くらいありそうな京都・寿宝寺の千手観音さんがいらっしゃいましたが……まぁそちらの方がレアケースと言えます。

特に驚いたのは、脇手わきしゅの指の造形です。なんだかしなやかな感じで、インドの踊り子さんみたいに、動きが柔らかいです。↓ 脇手の部分にライトが当たっていないので、露出を無理に上げて撮ってみました。

由来を知りたいのですが、ささっとネットで調べた限りでは出てきませんでした。機会があれば調べてみたいと思います。

■素朴な如来立像もありました

「へぇ〜、こんなの所蔵していたんだぁ」という第2弾が、こちらの《如来立像》です。こちらのように素朴な感じなのが、好みです。家に持ち帰って飾りたい……ではなく、拝みたいですね。

現在、展示されているのは、前項の《千手観音坐像》が座っている、ちょうど真上……階段昇って2階の部屋にあります。

《如来立像 N-193》飛鳥時代・7世紀| 木造、漆箔・法隆寺献納宝物

調べてみたら、こちらも2022年に、前項の《千手観音菩薩》と同じ時期に展示されていました。まぁなかなか全てを記憶するというのは、難しいものですね。だからこうしてnoteしていく……というのもあります。

《如来立像 N-193》飛鳥時代・7世紀| 木造、漆箔・法隆寺献納宝物

こちらの由来は、法隆寺献納宝物ということで、しっかりとしています。明治初期に修繕費なども捻出できなくなっていた法隆寺が、国宝を含む多くの宝物を皇室へ寄贈。その代わりに皇室から1万円が……「支払われた」というのはおかしいですね……「下賜された」というのもおかしいようなあっているような……まぁここは「奉納された」とかですかね。

↑ 残念ながらピンがバシッと決まっていませんが、横から見ると、なお素朴さが出てきます。やはり好みでいえば、こうして優しい顔立ちの仏さんが良いですね。

ちなみに「ゆるやかなS字状の姿勢や奥行きの薄い体つきの表現は、飛鳥時代の仏像の特徴」なのだそうです。解説パネルには続けて「とくに子供のような顔立ちは、飛鳥時代後期にみられる要素」としています。“子供のよう”……ですかね? 普通におっさん顔だと思いましたけど……まぁでもこの顔立ちは好きです。

さらに解説パネルには「同時代の仏像は金銅仏が多いなか木彫像は珍しく、霊木として信仰されることもあったクスノ キでつくられています」とあります。そんなに木彫像が珍しかったんですかね? 以前にnoteした「東京芸大から50円で購入した菩薩立像」も、木彫で、同じくクスノキですけどね。

関係あるかないかは分かりませんが、クスノキって香りが良いですよね。近づくだけでも香ってくることがありますが、葉っぱをプチッとちぎると、香りがよく分かります。で、あの匂いがそうなのか分かりませんが、クスノキ=樟の樟脳は、防虫効果があるそうです。だから霊木とされていたのかもしれませんし、だから木彫などに使われていたんじゃないか? って思うのですが、どうでしょうか。

【2024年3月25日追記】
このnoteで紹介した飛鳥時代・7世紀の《木造如来立像 N-193》(法隆寺献納宝物)が、有形文化財だったのが重要文化財に指定されることになりました(まだ決まっていませんが、ほぼ確定状態)。

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