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かつお節 -発酵の基本知識-(55)
かつお節、塩辛、魚介類の加工品なども、日本の伝統的な発酵食品です。
世界一かたい発酵食品
かつお節は世界一固い発酵食品と呼ばれています。新鮮なカツオを三枚におろし、骨を抜き、茹でた後に二回焙乾させ、その後脂肪分を取り除いた後にコウジカビを繁殖させます。十分なカビ付けが出来てから天日干しをし、この行程を三度程繰り返しようやくかつお節が完成します。三回繰り返したものを枯節をいい、四回以上のものを本枯節と呼びます。
本枯節の水分は13~15%で、最初に比べると約1/6程度の重さまで乾燥します。
かつお節に用いる微生物はコウジカビ
かつお節には麹菌の一種である青麹菌、別名カツオブシカビを用います。
(アスペルギルス・グラウカスや、アルペルギルス・レペンスなど)
カツオのタンパク質をアミノ酸に分解する酵素のプロテアーゼや、脂肪分解酵素のリパーゼなどの分解力が強いのが特徴です。
だし文化に重要なかつお節に迫る危機
和食がユネスコ世界文化遺産に登録され、健康効果と相まって注目を集める中、かつお節の生産が深刻な状況を迎えています。
化学調味料の普及により、「だしをひく」ことが一般家庭で激減しています。
消費が落ち、かつお節を製造する業者の減少も著しく、さらに追い打ちをかけるように他国のカツオの消費量が急増していることにより、漁獲量の減少も深刻な状態にあります。
だしをひく、ということは味覚の形成において重要な役割をもちます。
離乳食などに利用し、小さい頃からだしの味に慣らしておくことは、味覚だけでなく将来の食に対しての意識の形成にも重要な役割をもちます。
忙しい現代人はだしをひく時間も難しい事が多いかもしれませんが、たとえ市販品であってもかつお節を用いてだしをとる、そのことで食への意識が少しでも豊かになるのならば積極的に利用したい日本人の財産だといっても決して大げさではないのではないでしょうか。