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世界の発酵食品 -発酵の基本知識-(57)

世界にもさまざまな国にさまざまな発酵食品が存在します。

手作りできる世界の発酵食品

この数年の発酵食品ブームの中、日本の発酵食品だけでなく、世界の発酵食品も、調味料から加工品まで自家製で手作りすることが可能になりました。
ここでは日本でも自宅で手作りが可能な世界の発酵食品を紹介します。


調味料

  • コチュジャン
    (韓国の調味料・もち米と唐辛子を麹菌で発酵)
    本来であれば麹は韓国の麹、メジュを使用しますが、代用としてもち米と甘酒を使用するレシピがあります。

  • 豆板醤
    (中国の調味料・そら豆と唐辛子を麹菌で発酵)
    蒸したそら豆、唐辛子、塩と麹菌で発酵させます。唐辛子は韓国産のものを使用します。


穀物加工品

  • テンペ
    (インドネシアの発酵食品・大豆をテンペ菌(クモノスカビ)で発酵)
    水で浸漬した後に大豆の皮を取り、固めに茹でた後に密閉袋に入れ、平らに密閉させます。
    袋に空気穴を数か所あけた後にテンペ菌を繁殖させて30℃位で発酵させます。
    クモノスカビが一面に綿状に繁殖すれば完成です。


野菜果実加工品

  • ザワークラウト
    (ドイツ・キャベツの漬物。乳酸発酵させる)
    乳酸キャベツとして近年ブームとなりました。
    キャベツを千切りした後、塩、微量の砂糖と共に密閉袋に入れ、空気を抜いて重石をして一週間程発酵させます。

微量の発泡が見られたら味を見て十分に乳酸発酵が行われていたら完成です。


酪農製品

  • ヨーグルト(動物の乳や豆乳を乳酸菌で発酵させたもの)
    種菌のない状態でヨーグルトを発酵させるのは衛生面で望ましくないため、この場合は既成のヨーグルトを種菌として培養することとします。
    既成のヨーグルトに牛乳を加え、35℃~40℃位(菌により異なります)で6~8時間程発酵させます。


  • チーズ(動物の乳に乳酸菌を加え、凝乳酵素で固めたもの)
    モッツァレラチーズなどのフレッシュタイプなら作ることが可能です。
    牛乳を温めながら、クエン酸、レンネット菌を加え、良く混ぜると、チーズのもとになるカードと透明の液体のホエー(乳清)が分離してきます。
    ホエーを取り除き、カードを折り畳むように数回まとめていくと、ガム状の弾力が生まれます。
    その後、表面がなめらかになったらモッツァレラチーズの完成です。


魚介類加工品

  • アンチョビ(イタリア・カタクチイワシの塩漬けを発酵させたもの)
    新鮮なカタクチイワシを3枚におろし、容器に敷き詰めた塩の上にイワシを載せ、さらに塩を載せを数回繰り返したのち、1~3か月冷暗所か冷蔵庫で発酵・熟成させます。
    この場合の塩の量はイワシの総量の20~30%が目安となり、平均温度は15℃が目安です。



珍しい世界の発酵食品

世界には驚くような珍しい発酵食品があります。
中には本当に食べられるのかと思うような発酵食品もありますが、食文化によるもので民族的には貴重な栄養源ともなり大切な役割を持っているものもあります。


シュールストレミング
(スウェーデン・ニシンを缶詰の中で発酵させたもの)

世界一臭い食べ物と呼ばれるほど、強い臭気を持つ発酵食品です。
ニシンを塩漬けにし、缶詰にしたもので非加熱のまま缶詰にしているために、缶の中で発酵をさせます。発酵が進むと缶が膨張し、膨らんできます。気圧変動による破損を防ぐために航空機などを利用して日本に持ち込む事はできず、船舶輸送のみでの輸入が可能となっています。


キビヤック(イヌイット民族の保存食)

世界で三番目に臭い食べ物といわれています。
アザラシの腹を裂き、内臓を取り出し、代わりに海鳥を詰め込み、地中に2カ月から数年の長期間埋めて発酵させます。
発酵後に海鳥の内臓をすすって食べます。
北極圏は極寒の地のために、野菜などを摂取することが難しく、このキビヤックは北極圏民族の貴重なビタミン源となります。
かの有名な冒険家の植村直己氏が北極を横断した際に食していた逸話が自身の著書により残されています。

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