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味噌の種類 -発酵の基本知識-㉜
味噌の種類
米味噌
もっとも一般的なのが米味噌です。米麹、大豆、塩から作られ、東日本全般、北陸、近畿地方を中心に生産されています。生産量は全体の8割を占めています。
麹歩合により、甘みと熟成期間が変化します。
※麹歩合とは、大豆に対しての麹の割合を指します。
麹歩合(歩) = 麹の量 / 大豆の量 ×10
1)甘味噌
麹歩合は通常20歩以上で、食塩は6%程度で米麹の酵素が生成するブドウ糖により甘い味噌です。
白と赤の区別があり、原料の割合はほぼ同じですが、大豆の処理方法で濃淡が異なります。5日~20日の短期間で作り、長期保存ができないのが特徴です。
2)甘口味噌
麹歩合が10~15歩の範囲で甘みがあり、塩味を抑えた味噌で、中味噌、中甘味噌とも呼ばれます。
3)辛味噌
麹歩合は10歩以下で、食塩は11~13%で作られます。米味噌の中でも最も多く製造され、淡色と赤色と分けられ、大豆の処理方法で濃淡が異なります。醸造期間が長くゆっくりと熟成させるのが特徴です。
麦味噌
原料は大豆、大麦や裸麦の麹、塩で作られます。
麹歩合は10~25歩ほどで一般的な米味噌よりも高めで、食塩は10~11%と甘口の仕上がりになります。
主に九州や四国、中国地方で作られ、農家の自家用の味噌として作られていました。別名田舎味噌とも呼ばれています。
生産量は全体の1割程で、甘口と辛口があり、辛口は関東地方でも生産されています。
豆味噌
原料はに麹菌を繁殖させた大豆麹と食塩水で作られます。
諸説はありますが、味噌の中でも最も古くから作られ、味噌の原型として伝わっています。
豆味噌は米や麦を使用せず、原料大豆の全量を製麹するため「全麹仕込み」とも呼ばれます。
豆のタンパク質が多いことからうま味が強く、食塩は10~11%と、辛味噌としてはやや少なめで、味の印象程塩分は高くないのが特徴です。
愛知県、岐阜県、三重県の3件のみで生産されており、八丁味噌、名古屋味噌、三州味噌、たまり味噌なとの呼び名があります。
その他の味噌
1)嘗め味噌
味噌に細かく刻んだ野菜などと一緒に漬ける味噌で、金山寺味噌などがあります。
2)かんずり
新潟の名産で、トウガラシと米麹を発酵させて作る調味料に近い辛い味噌です。
3)北海道味噌
江戸末期から明治にかけ、開拓移民の間で作られた味噌で、移民の出身の土地の味噌が混ぜられて作られました。
4)ソテツ味噌
奄美大島に自生するソテツを大豆代わりに使って作られた味噌。甘口の仕上がりで現在も島の人々に愛されている味噌です。手前味噌としても作られています。
土地の農産物を反映する味噌
味噌は豆、麦などを原料としています。各地域でよく取れる穀物を原料として作られています。
主に北日本は米、中部では豆、九州地方では麦などその土地の農産物を反映しています。
見直されている手前味噌
手前味噌という言葉があります。近年、この手前味噌を見直し、家で自家製の味噌を作ることが増えつつあります。
味噌の健康効果が盛んに取り上げられ、海外でもその効果が注目されていることから、さかんに食育活動などで味噌教室が開かれるなど、意識が高まっています。
市販の味噌には、流通過程での品質保持目的のための発酵止めが行われていることがありますが、自家製の味噌なら原料も自分で選べ、安心でき、作り方も用意で、子どもにも作ることができることから、この数年で自作の味噌を作る人が増えています。
ちなみに手前味噌には、自分で自分を褒める、自画自賛といった事の意があります。
味噌にまつわることわざ
「買い味噌は恥」
家で仕込む手前みそは、かつて当たり前の習慣だったことから味噌を買うことは恥とされていました。「医者に金を払うよりも、味噌屋に払え」
江戸時代のことわざで、健康のためには医者に通う事ではなく、味噌を食べる方が健康でいられる、という意味を持っています。「味噌汁は朝の毒消し」
味噌の成分、コリンが二日酔いに効果があることから、朝の味噌汁は、毒=アルコールを排出する、という意味を持っています。